シャーリング加工は金属板の切り出し等を行う際に使用される加工方法で、上下2枚の刃物を使ってハサミのように材料をカットしていきます。
この記事では、シャーリング加工の特徴や加工機の種類、最近普及しているレーザー加工との違いなどについて解説します。
目次:タップで該当箇所へジャンプ1 シャーリング加工とは2 シャーリング加工機の種類2.1 種類①:機械(メカ)式シャーリングマシン2.2 種類②:油圧式シャーリングマシン2.3 種類③:コーナーシャー2.4 種類④:バイブロシャー2.5 種類⑤:足踏みシャーリングマシン3 シャーリング加工とレーザー加工の違い4 シャーリング加工のポイント4.1 ポイント①:クリアランスの調整4.2 ポイント②:シャー角の調整4.3 ポイント③:歩止まりを考えた板取り4.4 ポイント④:最大板厚に注意4.5 ポイント⑤:稼働部に手を触れない5 まとめ
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シャーリング加工機を使い、刃物により金属板を決められた寸法に切断する加工方法をシャーリング加工と呼んでいます。
加工機には、上下に上刃、下刃といわれる刃物が取り付けられており、材料を挟み込んでカットする仕組みで、原理的には普段使用しているハサミと同じです。
加工機に付いている刃物は頑丈な造りのため、鉄やアルミ、ステンレスなど硬い金属であっても切断が可能です。
シャーリング加工は、定尺の原版を必要なサイズに切り出す工程や曲げ加工を行う前のブランク加工などに利用されます。
加工機は別名「せん断機」「シャーリングマシン」ともいわれ、動力源や使い方によっていくつかの種類に分けられます。
シャーリング加工機の主な種類を5つご紹介します。
機械(メカ)式シャーリングマシンは、刃物を押し下げる動力が機械式になっているタイプの加工機です。
クラッチを利用してモーターの回転を伝え、刃を駆動させる方式で、仕組みが単純なためメンテナンスに手間がかからず、加工速度も速いメリットがあります。
ただ、厚い金属の切断は苦手で、6mm以上には対応していない場合がほとんどです。
また、加工の際に出る音も大きいため、使用時には騒音への配慮も必要になります。
油圧式シャーリングマシンは、刃を動かす機構が油圧を利用したタイプの加工機です。
加工速度は機械式ほど速くありませんが、安定した油圧により厚い材料でも切断でき、さらに断面も綺麗に仕上がります。
また、稼働時の衝撃や騒音も少なく、刃も機械式より長持ちです。
しかし、油圧機構は油漏れなどのトラブルを起こす恐れがあるため、日々のメンテナンスが必要不可欠で、維持コストは高くなってしまいます。
弊社では油圧シャーリングを使用しております。
設備紹介からご覧ください。
コーナーシャーは材料の角(コーナー)部分に切り欠きやせん断を行うための加工機です。
コーナーカッターとも呼ばれ、V字型や直角に角をカットでき、箱型の製品を作る際などに使用されます。
機械式や油圧式が金属板を直線状にせん断するのに対し、コーナーシャーは全く異なる用途で使われるものです。
バイブロシャーは刃を振動させて材料のせん断を行う加工機です。
通常のシャーリングマシンは直線での加工しかできませんが、バイブロシャーでは円弧状など曲線でのせん断も可能になっています。
最近では、レーザー加工機の普及によりあまり使われなくなってきており、新しい製品は販売されなくなりました。
足踏みシャーリングマシンは足元に設置されたペダルを踏んで刃を上下させる加工機です。
シャーリングマシンのなかでは最も原始的なタイプですが、亜鉛や銅などの薄い金属板や樹脂版の加工なら十分に対応できます。
最近、シャーリング加工とともにせん断などに利用されているのがレーザー加工です。
シャーリング加工が刃を使って直接材料をせん断するのに対して、レーザー加工はレーザー光を用いた非接触の加工方法です。
曲線などを多用した複雑な形状の加工も得意で、バリやダレ、歪みなどが発生しにくいため後処理も楽になっており、作業の効率化が図れます。
一方、シャーリングがレーザー加工より優れている点は加工速度です。
単純に速さを重視するならこちらのほうが向いています。また、レーザーでは難しい厚い素材の加工も可能です。
このように、2つの加工方法には様々な違いがあるため、複雑な形状ならレーザー加工、直線的でスピードを求められるせん断ならシャーリング加工と使い分けると良いでしょう。
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シャーリング加工を行う際に注意したいポイントを5つご紹介します。
1つ目のポイントは、クリアランスの調整です。
シャーリング加工で上と下の刃の隙間をクリアランスといい、これが小さくなり過ぎるとバリやダレが発生しやすくなります。
加工時には、材料の厚みとせん断抵抗、実際にカットしてみた切断面を見ながら、適切なクリアランスへと調整を行ってください。
2つ目のポイントは、シャー角の調整です。
シャーリング加工機では、下刃は垂直なのに対して、上刃には角度がついており、これをシャー角またはレーキ角と呼んでいます。
角度が大きいと少ない力でせん断できるようになりますが、たわみ(ボウ)、ねじれ(ツイスト)、反り(キャンバー)などが起こりやすくなります。
そのため、材料の種類や厚み、作業速度に応じた適切なシャー角の調整が必要です。
3つ目のポイントは、歩止まりを考えた板取りです。
歩止まりとは投入した材料に対する生産量の割合を指し、高くなるほどロスが少ないといえます。
加工の際には、残材を減らし、できる限り材料から多くの製品が作れるような板取り(材料取り)を考えましょう。
4つ目のポイントは、最大板厚に注意することです。
機械ごとに加工できる材料の最大板厚が決まっており、無理な厚みのものに使おうとすると故障の原因になります。
必要な板厚を確認したうえで、加工機や材料を選定してください。
5つ目のポイントは、稼働部に手を触れないことです。
加工機が動いている途中、刃物や板抑えに手を近づけると事故の原因になります。
また、加工されたものが出てくる機械の後ろ側も要注意です。
事故を未然に防ぐため、安全装置や侵入防止柵などの安全対策を実施しましょう。
この記事では、シャーリング加工の方法や加工機の種類、レーザー加工との相違点について解説してきました。
最近では、レーザー加工機も多く使われるようになってきましたが、直線的な加工やスピードを求められるものに関してはシャーリング加工機が活躍します。
加工内容に応じて、2種類の方法を使い分ければ、より効率的な作業が可能になるでしょう。
シャーリング加工について、さらに深く理解したい、ご相談したいという場合は、気軽に当社へお問い合わせください。
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