本格的な工作を趣味としておこなっている方は、時として鋼材を切断する必要に迫られるのではないでしょうか。
「鉄の切断を依頼したいけど、どの業者を選べばよいかわからない」 「自分でやってみてもなかなかうまくいかなくて困っている」 そのような悩みを抱えている方もいるでしょう。
鋼材を切断する方法にはいくつかあり、大きく分けると5種類ほどになります。
どの方法にも長所と短所があるので、性質をしっかり理解したうえで、状況に応じて使い分けることが重要です。
この記事では、鋼材の切断方法を解説するとともに、基礎知識や注意点などについてもおおまかに触れていきます。
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鋼材の切断加工とは、文字通り鋼材を切断して形を変える加工方法のことです。
多くの場合において、切断加工は材料となる鋼材を手に入れたあと最初におこなう加工となります。
鋼材を使って製品を作る際には、一つ一つの部品の加工図面などが用意されているはずなので、それをもとにまずはおおまかな切断をすることになります。
おおまかな切断といっても、ある程度精密におこなうことは大切です。
最初の切断加工の精度が高ければ、それ以降の微調整である接続や摩耗の手間が少なくなるからです。
加工物を切断または穴をあけて加工する「切削加工」についても、別の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
【関連記事】切削加工3種類を解説!旋削加工・フライス加工・穴あけ加工とは
切断とは「物を断ち切って切り離す」ことを意味しています。
したがって切断加工とは鋼材に一点に強い力を加えることで物理的に切り離す加工を指します。
切断の方法にはさまざまなものがありますが、この「物理的に切り離す」という一点において、原理的に変わりありません。
一方のせん断とは、2つの力が物体をずらす方向に作用することを利用した切断加工です。
鋼材に対して近い場所で2つのずらす力が加わると、鋼材は対応しきれなくなって分離することになります。
これがせん断です。身近な道具でたとえるならば、ハサミで紙を切るときにこれと同じ現象が発生します。
弊社では、様々な切断加工機を使用しておりますので、設備紹介でご覧ください。
鋼材を切断する方法にはいくつかあり、代表的なものとしては以下の5種類を挙げられます。
それぞれに特徴とメリット・デメリットが存在するので以下の解説を読んで把握しておきましょう。
ガス切断とは、ガスを燃やして発生させた熱によって対象を溶かして切断する方法です。
まずアセチレンガスと酸素を使って炎を発生させ、ガスバーナーから噴射させることで切断したい面を加熱させます。
それから酸素を吹き付けることで、溶けた部分を吹き飛ばして鋼材を切断します。
比較的厚さのあるものでもきちんと切断できる使い勝手のよさがありますが、高温が発生するため、熱によって素材である鋼材が歪んでしまう可能性があります。
また一口に鋼材と言ってもさまざまな性質のものがあり、アルミやステンレス鋼のような素材は酸化しにくいためうまく切断できません。この点に注意する必要があります。
機械切断とは、工作機械の物理的な力を利用して対象を切断する方法です。
主な方法としては、すでに述べた切断とせん断の2種類があり、それぞれ異なるアプローチをします。
切断の場合はグラインダーなどを用いて直接的に削ったり切ったりすることで鋼材を直接的に切断します。
一方のせん断では、プレス機やシャッターなどを利用することで、ハサミと同じ原理で鋼材を切り離します。
どちらもスピーディに切断できるのが強みですが、せん断はその性質上あまり厚い鋼材を取り扱えないという難点があります。
電気切断とは、一定以上の電気を放電させたときに発生するプラズマアークの熱で対象を溶かして切断する方法のことです。
対象と電極のあいだにプラズマアークを発生させる必要があるので、電気を通さない素材には利用できません。
その点、鋼材に使うことは問題ありません。
他の切断方法と比べて分厚い鋼材の切断も可能であることや、ランニングコストが低めであることなどが強みです。
レーザー切断とは、レーザー光をレンズによって集約させ、その熱で対象を溶かして切断する方法のことです。
レーザーには光と同じ性質があるため、一昔前は光を反射しやすいミガキ材やステンレス鋼などの加工には向いていませんでした。
しかし最近ではそういった素材も加工できる機械が増えてきています。
レーザー切断は複雑で精密な形を美しく切り出せるのが強みですが、機械が高額であることや、分厚い素材の加工が難しいことなどが難点であるといえるでしょう。
ちなみに、ここまで解説したもののうちガス切断・電気切断・レーザー切断は、鋼材を熱で溶かして切断するという仕組みに変わりはありません。
違うのは「どのような方法で熱を発生させるか」という部分だけです。
ウォータージェット切断とは、水あるいは水に研磨剤を混ぜたものを極細のノズルから勢いよく噴射し、その勢いで対象を切断する方法のことです。
強い圧力なため水がカッターのようになっており、硬い鋼材であってもしっかりと物理的に切断できます。
ウォータージェット切断は水をぶつけるだけなので加工熱が発生せず、ほかの多くの切断方法が苦手としているチタンの切断などにも利用できるのが強みです。
逆に難点としては、水に濡らしてはいけない物を切断できないことが挙げられますが、鋼材を切断する場面においてそれを意識する必要はほとんどありません。
切断加工をおこなう際には、以下の3つの点に注意する必要があります。
これらの注意点を意識せず鋼材の切断をおこなおうとすると、致命的なトラブルが発生してしまうかもしれません。
以下の解説を読んで、3つすべてをしっかりと心がけておきましょう。
ここまで解説してきたように、鋼材を切断する方法はいくつもあります。
その中から適切な方法を選択することが非常に大切です。
たとえばレーザー切断は、複雑で緻密な形を切り出せる点に魅力がありますが、機械が古い場合には、反射率の高い鋼材を加工することに向いていない可能性もあります。
他の切断方法にもそれぞれ得手不得手が少なからず存在します。
また、ランニングコストもそれぞれ異なるので、費用対効果を考慮することも重要でしょう。
どの切断方法が最適であるかは、さまざまな条件から決まってくることです。
特徴をよく理解したうえで、今回の条件に見合ったものをしっかりと比較検討しましょう。
各種切断方法の中には、厚みのある鋼材を切断することに向いていないものもあります。
具体的には、せん断加工で厚みのある鋼材を切断しようとするのはおすすめできません。
どのくらいのサイズの鋼材を切断したいのかによっても、選ぶべき方法は決まってきます。
この点でもやはり、それぞれの切断方法の特色を理解しておくことは重要です。
機械によって鋼材を切断する作業は、危険と隣り合わせです。ほんのわずか油断しただけでも、指を腕を切り落としてしまう事故が簡単に発生します。
鋼材を切断するほどの力を持った機械なので、細心の注意を払って扱わなければいけません。
経験が浅く作業に不安を感じている場合には、熟練者にお願いすることを検討しましょう。
鋼材を切断する方法について、具体的な種類や注意点などを解説しました。
切断方法にはいろいろなものがあり、それぞれに得意分野と不得意分野があります。
どのような鋼材をどのように加工したいのかによって、上手に使い分けることが肝心です。
間違った方法を選んでしまうと、コストばかりかかって思ったような結果を得られないという事態に陥ってしまうでしょう。
この記事を参考にして、鋼材の適切な切断方法をすぐ検討できるようになっておいてください。
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