HOMEPick Up機械加工における図面記号一覧をわかりやすく解説

機械加工における図面記号一覧をわかりやすく解説

機械加工する際には、図面にさまざまな記号が表記されているため、初めての方にはわかりにくくお困りの方も多いのではないでしょうか。

この記事では、機械加工における図面記号を一覧にして、わかりやすくまとめました。

読み終わった後には、機械加工における図面や、記号の役割について詳しくなっているはずです。

また、記事後半では弊社で取り扱っている機械加工についても紹介しています。

この記事を通して、機械加工における図面の理解を促進させましょう。

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機械加工における図面と記号の役割

機械加工における図面は、加工する際に必要な情報をすべてまとめた設計図のようなものです。

図面の中にすべて収めるために、記号を用いて簡潔に表します。

ここでは、図面と記号それぞれの役割について解説していきます。

 

図面の役割

図面に製品(タテ×ヨコ×奥行き)に加工するための、すべての情報が記載されています。

図面に記載されるおもな情報は、以下のとおりです。

  • 製品の形状
  • 許容される誤差
  • 表面の粗さ
  • メッキや塗装などの表面の処理方法

図面を作成する人と実際に機械加工する人は違う場合が多いため、定められた情報を正確に伝えられるかがポイントです。

 

記号の役割

図面の記号は、加工する製品の精度やどの機械を用いるかなどが細かく記されています。

おもに記されている記号は、以下のとおりです。

  • 寸法交差
  • 幾何交差
  • 表面粗さ

記号を使って表現することで、限られた図面の中でもわかりやすく、かつ正確に情報を伝えられます。

記号の詳細は、次に詳しく解説していきます。

【関連記事】機械加工とは?3つの機械加工や注意点をわかりやすく解説

 

機械加工における図面記号一覧

機械加工には、さまざまな図面記号が使われます。

慣れないうちはすべて覚えるのではなく、この中でもよく使う基本的な記号から覚えていき、知識を増やしていきましょう。

機械加工には、おもに以下の3つの記号が使われます。

  1. 寸法公差:図面の寸法に対する許容誤差
  2. 幾何公差:形状の許容誤差
  3. 表面粗さ:製品表面の粗さ

 

寸法公差

寸法公差とは、図面に記された寸法に対して許容される誤差のことです。

2016年にJISが改訂された際に、サイズ交差と名称が変更されました。

しかし、現場では寸法公差が使われているため、本記事では寸法公差として説明していきます。

部品加工する場合には、同様の設定で加工していても、常に同じ寸法通りに加工できません。

気温・湿度・素材の状態など、さまざまな要因により、出来上がった部品の寸法にはばらつきが生じます。

たとえば、直径100mmを基準寸法とする軸を加工した場合を例にとって考えてみましょう。

参考:寸法公差の入れ方|製図の基礎を学ぶ|機械設計エンジニアの基礎知識|MONOWEB

この場合、以下の3つの製品が出来上がります。

  1. 100mm
  2. 100mmより大きいもの
  3. 100mmより小さいもの

程度に差はありますが、必ずばらつきは発生してしまいます。

しかし、ばらつきが大きくては、製品の組み立て段階で大きな障害となるため、寸法の最大値と最小値を決めておくことが必要です。

この最大値と最小値の差を「公差」と呼びます。

直径100mmの軸の交差を±0.2とした場合、最大100.2mm・最小99.8mmの範囲で制作しなければいけません。

この場合図面では、下記のように記します。

参考:寸法公差の入れ方|製図の基礎を学ぶ|機械設計エンジニアの基礎知識|MONOWEB

寸法に公差を設定しない場合には、普通公差を基準として加工します。

普通公差は、求められる精度により基準が異なるため注意が必要です。

次の表には、長さに対する普通公差を示します。

他にも、かどの丸み・角度・削りや面取りなどそれぞれに普通公差があるため、確認してください。

基準寸法の区分 公差等級
記号(説明)
f(精級) m(中級) c(粗級) v(極粗級)
0.5以上3以下 ±0.05 ±0.1 ±0.2
3を超え6以下 ±0.05 ±0.1 ±0.3 ±0.5
6を超え30以下 ±0.1 ±0.2 ±0.5 ±1
30を超え120以下 ±0.15 ±0.3 ±0.8 ±1.5
120を超え400以下 ±0.2 ±0.5 ±1.2 ±2.5
400を超え1,000以下 ±0.3 ±0.8 ±2 ±4
1,000を超え2,000以下 ±0.5 ±1.2 ±3 ±6
2,000を超え4,000以下 ±2 ±4 ±8

引用元:日本産業規格|普通公差−第1部|個々に公差の指示がない長さ寸法及び角度寸法に対する公差(JISB0405-1991)

 

幾何公差

幾何公差とは、製品の形状や位置を規定する基準です。たとえば、同じ丸い穴をあける加工の場合を考えてみましょう。

参考:幾何公差とは|製図の基礎を学ぶ|機械設計エンジニアの基礎知識|MONOWEB

上記の図のように寸法公差の基準を満たしていても、ゆがみが発生していたり中心がズレたりしていては製品として使用できません。

そのため、幾何公差は、大きく分けて4つのポイントに分類されます。

  1. 形状:対象の基本的な形状を規定
  2. 姿勢:基準に対しての姿勢を規定
  3. 位置:基準に対しての位置を規定
  4. 振れ:回転軸を中心として、形体の振れを規定

この中でも、基本的な形状公差について詳しく解説していきます。

形状公差は、おもに形のばらつきを規制します。

形状公差の記号や意味を表にしてまとめました。

形状公差
真直度 ・形状に対して真っ直ぐであるかを表す
・直線や反りの許容に用いられる
平面度 ・平面のへこんだ部分と出っ張った部分が一定の幅で収まっているか
真円度 ・正確な円形であるかを指定するもの
・円形断面の丸みを表す
円筒度 ・どのくらい正確な円筒形であるか指定するもの
・円筒のゆがみを表す
線の輪郭度 ・曲面が指示したようにできているのか指定するもの
・輪郭線のゆがみを表す
面の輪郭度 ・曲面が指示したようにできているのか指定するもの
・指定面全体のゆがみを表す

参考:日本産業規格|製品の幾何特性仕様 (GPS) − 幾何公差表示方式− 形状,姿勢,位置及び振れの公差表示方式

一般的に、幾何公差を指定した図面は少ない傾向にあります。

その理由は、幾何公差を指定しなくても一定のレベルの製品が出来上がってくる場合が多いからです。

しかし、より精度の高い製品が必要な場合には、幾何公差を設定しましょう。

 

表面粗さ

表面粗さとは、加工した表面の粗さを規定するものです。

機械加工の切削や研削では、削り出して製品を作る特性上、表面の凹凸の発生は避けられません。

品質のばらつきを防ぐためにも、「表面粗さ」として凹凸の基準を設ける必要があります。

この表面粗さは、以下の問題に対して大きく関係するようです。

  • 接触面同士の摩擦
  • 気密性
  • 質感(触れた時のなめらかさや光沢など)
  • 騒音・振動

表面粗さは、部品の接触面における摩擦の発生に大きく関係すると言われ、小さいほどいいとされています。

しかし、小さすぎると焼き付きが発生するため注意が必要です。

また、滑らないようにするため、わざと表面を粗く仕上げ、摩擦を生じさせる場合もあります。

表面粗さは記号を用いて表され、現在ではISO準拠したものが最新の記号です。

しかし、実際の現場では旧式の記号を用いた図面も多く、下図を参考に改訂前の記号も理解しておきましょう。

参考:表面性状の表し方:機械製図の基礎知識(設計精度保証編)4|基礎知識|Tech Note|iPROS

表面粗さに特に指示がない場合には、以下の記号を使います。

旧JIS記号 ISO準拠JIS記号 加工内容
除去加工の有無は加工者側に委ねる
除去加工をする
除去加工はしてはならない
(素材のまま)
部品一周、すべて同じ表面状態に仕上げる

参考:表面粗さの書き方|製図の基礎を学ぶ|機械設計エンジニアの基礎知識|MONOWEB

 

南条製作所ではさまざまな機械加工を扱っています

弊社ではお客様のニーズにお応えするため、国内4工場に幅広い機械を取り揃えております。

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【関連動画】南条製作所・本社工場を紹介

 

まとめ:機械加工の図面記号を理解して知識を深めよう

機械加工の図面には、弊品を作るためのすべての情報が詰まっています。

同じ図面で製品を作っても、ぴったり同じ物ができるわけではありません。

そのため、図面や記号で情報を正確に伝え、「寸法公差」「幾何公差」「表面粗さ」で1つの製品に導きます。

図面はわかりやすいのはもちろんですが、複数の見方ができないように描くことが基本です。

図面の基本を身につけるためにも、本記事を参考におもな図面記号を覚えていきましょう。

より精密な製品を作るためには、適切な工程設計も求められます。

お困りの際には、機械加工のプロに任せてみるのもおすすめです。

機械加工について悩みやお困りごとがありましたら、日々ノウハウを蓄積し、機械加工の経験と実績を兼ね備えている弊社までお気軽にお問い合わせください。

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