センタレス研削盤はどのような役割があるのか、どの製品を削るのに適しているのか気になる方も多いでしょう。
センタレス研削とは、削る対象となる物(ワーク)の真ん中に穴を開けたり、固定したりせずに外側を削る方法のことです。
具体的な研削方法は、スルーフィード研削とインフィード研削があります。
本記事では、センタレス研削盤について、構造やメリット、注意点を解説します。
センタレス研削盤について知りたい方や興味のある方は、ぜひ参考にしてください。
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センタレス研削盤とは、丸い筒状の対象物(ワーク)の外側の面を削って滑らかに加工する方法です。
研削とは、高速で回転する砥石を使って、ワークの表面を削り取る加工のことを指します。
通常、研削する際は、ワークの真ん中に穴をあけて空洞にし、その間に支えとなる軸を差し込むことで、固定します。
さらに、ワークの外側をチャックと呼ばれる研削加工をするときに用いられる加工物を支えるためのものを使って固定して研削加工を施すのが一般的です。
一方で、センタレス研削盤では、穴をあける工程や支える部品が必要なく研削できます。
センタレス研削盤の研削方法として、4つあります。
リング形状のものを大量生産する場合に使われる研削方法や、頭のついた工作物、テーパーの研削に使用される方法などがあります。
以下で研削方法の中の1と2を詳しく解説します。
どのような違いがあるのか、どの部品を削るのに適しているのかなどをぜひ参考にしてください。
スルーフィード研削とは、固定されたブレードに調整砥石と研削砥石の2つの間で支え、ワークを回転させながら送り、ブレード上を通過し研削する方法です。
ブレードに対して、調整砥石の軸を一定の角度に傾けることによって、ワークは削られながら進みます。
砥石の回転が早い、または傾ける角度が大きければ大きいほどワークははやい速度で送られ、何度も続けて研削ができます。
スルーフィード研削は、量産するのに適している研削方法です。
回転しながらワークを送り出すため、長く続くリング形状のものを加工する場合に最適です。
ワークの形状としては段差やツバがないものに適しています。
インフィード研削とは、研削砥石と調整砥石の間にワークを置き、ワークの奥側にストッパーを置くことで停止させ、回転によって進むのを阻止して削る方法です。
ワークの接点は研削砥石、ブレード、調整砥石の3つあり、それぞれの接触により造円がワークの「真円度」を高めてくれます。
回転するたびにたわみが減り、外側が少しずつ削られて丸い形へと変化します。
調整砥石が研削砥石へ切り込むことで、ワークが研削され円が作られる仕組み。
ワークの形状としては、段差やツバがあるものに適しており、調整砥石や成型することで、さまざまな形状へ加工できます。
センタレス研削盤は以下の3つの構造でできています。
研削砥石とは、動力により早い速度で回転させることで、無数の鋭い粒がワークを削り、美しい仕上げ面と正しい寸法に仕上げる切削工具のことです。
ブレードとは物を削る際、直接支える役割をなす板のことで、固定されている支持刃を指します。
調整砥石とは、調整車とも呼ばれ、ワークに押し付けることで、両方の表面に発生する摩擦力を利用して、一定の回転速度を与える役割があります。
造円作用とは、ゆがみを少しずつ小さくすることで、完全な円に近づける働きのことです。
ブレードに対象物であるワークを置き、研削砥石と調整砥石の回転とともに、ゆがみを少しずつ削ることで、形を整えます。
始めは、いびつな形であるワークも2つの砥石とブレードの接地する面を一定の速さで保ちながら回転させることで形が整う仕組みです。
繰り返し何度も接触させると、ゆがみが少なくなり、最後にはきれいな丸い形の円になります。
研削砥石と調整砥石の中心を結ぶ線と、ワークの中心の距離を心高と呼びます。
心高の高さによってはきれいな円にならないこともあるため、注意が必要です。
ここまで、センタレス研削盤の研削方法などを解説しました。この章では、センタレス研削盤のメリットを4つ挙げます。
センタレス研削盤と似た削り方である、円筒研削盤と比較しながら解説します。メリットを把握し、センタレス研削盤を検討してみてください。
センタレス研削盤は、ワーク全体をブレードと研削砥石、調整砥石の3つで支えるため、研削抵抗によるたわみの影響が少ないというのがメリット。
そのため、長めの円筒やとても小さなピンに対して安定した研削加工が可能です。
また、ワークを研削盤に取り付ける手間がない分、取り付け時に生じる誤差がなく、研削精度を一定に保てます。
また、等しく正しい円を求められるパイプなどの長い物を加工するのに最適な方法といえるでしょう。
2つ目はセンター穴の加工が不要なことです。
センタレス研削盤に似た、円筒研削盤というのがあります。
円筒研削盤では、ワークを両端で支えて研削するため、センター穴の加工が必要です。
この場合、センターの位置を出す必要があり、一工程多くなってしまいます。
しかし、センタレス研削盤の場合は、中心位置は砥石の回転により、ワークを押し出すことができます。
また、センター穴の加工がいらない分、工程の短縮が可能です。
このように、センター穴の加工をしなくても、研削できるのはメリットといえます。
3つ目は連続生産が可能なテンです。
砥石でワークを挟み、回転させて研削するセンタレス研削盤。円筒研削盤のようにワークを固定しなくてよいため、ワークの取り付けに時間がかかりません。
また、ワークの排出作業が簡単に行えるため、連続して生産が可能です。加工時間が短縮できるのもメリットでしょう。
同じ大きさのワークを大量に加工できるため、生産性の向上も見込めます。
また、手間がかからず量産できることから、作業効率も上がりコストダウンにもつながります。
ワークの形状に合わせて、調整砥石を成型することで、段付きやR形状など幅広い加工もできます。
センタレス研削盤の方法のなかでも、インフィード研削で一回での研削加工が可能です。
具体的には、各種ピン類や、パイプ、細長いワイヤーなどの加工ができます。
円筒形のパーツにくぼみや筋が入っている段付きシャフトなど研削加工が必要な場所が複数ある場合、一般的には円筒研削盤で加工するしかないと思われている方が多いですが、センタレス研削盤でも可能です。
弊社では、センタレス研削盤を取り扱っています。金属加工にお困りの方はお問い合わせください。
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センタレス研削盤の注意点として、キズ、砥石の破損などが挙げられます。
キズは、砥石がワークに合っていなかったり、古くなったりしていることが原因です。
また、砥石の破損によって、ワークにキズがついてしまうこともあるでしょう。
対策として、研削砥石の粒度を調整、砥石自体を変える必要があります。
また、研削の際に砥石とワークに大きな負担がかかることで、びびりが生じます。
びびりとは、加工している際に発生する振動の総称のことです。
びびりの影響で、加工の精度が下がったり、生産性も落ちたりします。
びびりを減らすためには、速度を遅くしたり、送り量を変えたりすることが重要です。
このように、定期的なメンテナンスや細心の注意を払い、使用しましょう。
センタレス研削盤とは、研削砥石、調整砥石、ブレードの3つを使用して削る方法のことです。
研削方法は、通しながら削るスルーフィード研削と停止させて削るインフィード研削の2種類があります。
使用するメリットとして、たわみの影響が少なかったり、細かいピンやR形状など幅広い加工ができたりする点です。
注意点としては、砥石が古くなることでワークにキズができたり、ワーク素材の外面の溝や穴、真円度による影響も受けやすいことが挙げられます。
南条製作所では、センタレス研削盤を始めとしてさまざまな種類の加工を承っています。
創業から培ってきたノウハウをもとに、お客様の要望に合わせて加工可能です。研削でお困りの方は、弊社にご相談、お問い合わせください。
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