日本各地を結び、私たちの暮らしに大きな利便性を提供してくれる日本の高速鉄道である「新幹線」。
その安全と信頼を支えているのが橋脚です。
通常、新幹線の線路は事故防止や運転速度の維持に役立つ高架式になっており、橋脚の安全はそのまま新幹線の安全な運行にもつながっています。
新幹線の走行を支える橋脚の構造や製造方法を紹介します。
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新幹線の線路を通している橋梁はどのような構造になっているのでしょうか。
各部位の特徴や役割をみていきましょう。
橋梁とは主に海や河川、渓谷に架ける道路や鉄道線路を通すための橋を意味し、新幹線の高架もこの橋梁の一種といえます。
一般的に「橋」と呼ばれているものですが、土木工学では橋梁が正式な用語になります。
橋梁の構造は、輸送・通行に用いられる上部構造と橋を支える下部構造の大きく2つに分かれます。
高欄・床版などが上部構造に、橋脚・橋台などが下部構造に含まれます。
橋梁には、鈑桁や箱桁、吊り橋、アーチ橋、トラス橋、ラーメン橋といった種類があり、それぞれの形式によって構造にも違いがあります。
別名ピアーとも呼ばれ、橋梁を支える脚の部分にあたる構造物です。
上部構造の重さを地盤へと伝える役割を果たし、橋梁の両端を支持する橋台を補完しています。
別名アバットと呼ばれ、橋梁の両端部分にあって橋を支えている構造物です。
橋脚と似ていますが、両端の構造物は橋台と呼ばれ、地盤が崩れてこないようにする擁壁としての役割ももっています。
別名シューと呼ばれ、橋台または橋脚の上といった、橋の上部構造と下部構造の間に設置されます。
橋を通る車両の重みを橋台や橋脚に伝えるとともに、橋桁が温度変化によって伸縮したり、上を車両が走行したときに撓んだりするのを支える役割を果たしています。
橋に設けられる欄干(手すり)のことで、人や車両が落下する事故の防止を目的としており、橋梁のデザインの一部として利用される場合もあります。
橋のつなぎ目は、橋桁が温度変化によって伸縮した際、ぶつかることのないよう一定の隙間を設けておく必要があります。
そのために取り付けられるのが伸縮装置で、橋桁間に適切な「あそび」を作り出す役割をもっています。
橋脚や橋台の上に渡して、床版を支えている部位です。
一般には、橋梁の脚の部分を指して橋桁といわれることもあるようですが、これは正確ではなく、橋桁とは橋脚の上に横に渡す構造物のことを指しています。
両端だけを支持した桁を単純桁、両端とその中間2か所以上を支持した桁を連続桁といいます。
橋梁の床に当たる部分で、橋の上を通る車両の重みを支える役割を果たします。
床版には、鋼製の鋼床版、鉄筋コンクリート製のRC床版(スラブ)、鋼・コンクリート合成床版、プレキャスト床版、PC床版などの種類があります。
新幹線の橋脚は、線路が通る橋梁を支える非常に重要な役割をもっています。
新幹線の橋脚には鋼や鉄筋コンクリート、プレストレストコンクリートが使用されます。
ほかにも複数の材料を組み合わせたもののほか、上部構造と下部構造が合体したラーメン橋があります。
新幹線の橋脚には、普段から通過する車両の荷重を地面に伝える機能があります。
その上、地震など災害が起きたときも倒壊しないように耐震性能をもった頑丈さが重要です。
橋脚こそ、新幹線の安全な運行と信頼を支えている部位であるといえるでしょう。
新幹線の橋脚はどのように製造されるのか、各工程をみていきましょう。
罫書きともいわれ、設計図に基づいて部材に切断線や穴あけ位置を記入していく作業です。
最近では、NC工作機械を用いてデータから直接、自動的にマーキングを行うことも可能です。
切断線に従い、部材を所定の形状や長さに切り出していく作業です。
切断法には、ガス切断やレーザー切断、機械切断、プラズマ切断などの種類があり、部材の大きさや切断する形状に合わせて、適切な方法を選択したり、組み合わせたりします。
穴あけはボルトを通すための穴を開ける工程です。
大型の部材にはNCガーダーラジアルボール盤、小さな箇所にはNCラジアルボール盤が使われ、大口径の穴にはラジアルボール盤やガーダーラジアルボール盤を使用するなど、穴あけ法にも様々な種類があります。
切断、穴あけが終わると、それぞれの部材に開けた穴にボルト留めを行い、設計図に従って組立てていきます。
橋脚の組立には、普通のボルトよりも高い強度をもつ高力ボルトが使われ、通常よりも高いトルクで締め付けを行います。
組立が終わると、部材の各部を溶接していきます。
溶接には一般的に自動溶接機が使用されますが、狭い場所や細かな部分など、機械での作業が難しい場合には職人の手作業による溶接が行われます。
多くの場合は部材を実際に組立て、寸法や構造上の問題がないかを調べて品質の確認を行う仮組立を実施します。
新幹線の橋脚は、切断から穴あけ、溶接など多数の工程を経て製造され、それぞれの作業には高い技術力と知識が求められます。
設計図通りの強度をもつ橋脚を製造するには、きちんと所定の寸法に切断を行い、穴あけの位置もずれることなく正確でなければなりません。
橋脚は巨大な構造物ですから、製造するには当然、大型の工作機械が必要ですし、それを使いこなす製造知識、技術が不可欠です。
新幹線の安全性はこうした高い技術力によって支えられているといえるでしょう。
新幹線の線路が通る橋梁は、橋桁や床版、支承などの部位から構成され、なかでも橋脚は橋を支える脚として重要な役割を持っています。
精度の高い橋脚を製造するには、各工程への深い理解と確かな技術をもって会社に依頼する必要があります。
新幹線の橋脚製造についてさらに詳しく知りたい、製造を頼みたいという場合は、気軽に当社へお問い合わせください。
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