推進工法とは、水道管などの管きょを地中に埋設するための工事の一種です。
推進工法は「非開削工法」とも呼ばれる工事であり、ほぼ地面を開削することなく工事を進められることが特徴です。
そのため、占有する工事面積を最小限に抑えたり、周囲に与える騒音や振動の被害を回避できたりします。
この記事では、推進工法のメリットや種類について解説します。
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推進工法とは、地中の掘進機と推進管を油圧ジャッキで押し進めることで管きょを埋設する方法です。
下水道やガス管などの管きょを地中に埋める工事で用いられています。
地中で水平方向にどんどん地面を掘りつづけ貫通させるイメージで考えるとわかりやすいかもしれません。
このような管きょを地中に埋設する工事には、地面を掘って管きょを底に配置する「開削工法」と、地面を掘らずに地中を貫通させて管きょを配置する「非開削工法」があります。
推進工法は、非開削工法に分類される工事の方法です。
また、「推進工法=非開削工法」と考える場合もあり、推進工法をシールド工法と呼ぶ場合もあります。
推進工法は非開削工法であることが特徴であり、その特徴を活かしたさまざまなメリットがあります。
ここでは、推進工法の主なメリットを3つお伝えします。
推進工法のメリットの1つ目は、工事占有面積が狭いことです。
非開削工法である推進工法は、最小限の面積のみを掘って行える工事であるため、多くの工程を地中のみで行えます。
そのため、広範囲の地面を掘る開削工法の工事と比較すると工事占有面積を大幅に減らせます。
推進工法のメリットの2つ目は、騒音・振動を抑えられることです。
推進工法で掘る地面は一部のみであるため、管きょを設置するために広範囲の地面を掘って行う開削工法と比較すると、音が響きにくい工事です。
近隣住民への騒音被害を抑え、スムーズに工事を進められます。
そういった意味では、周囲からの反感を買いにくい工法かもしれません。
推進工法のメリットの3つ目は、道路や市街地の工事に適していることです。
開削工法で工事を進める場合、管きょを設置する箇所に位置する地面をすべて開削する必要があります。
地表が道路や市街地だとしても、地面を掘って工事を進めなければいけません。
一方、推進工法ならば地中を貫通させて管きょを配置できるため、地表への影響を抑えられます。
交通量の多い道路や、市街地の地中の工事でこそ、開削工法よりも推進工法が採用される傾向にあります。
非開削工法である推進工法は、さまざまな施工に適しています。
なかでもよく推進工法が用いられるのは、以下の2つです。
下水道の施工には推進工法が適しています。
古くから下水道の整備には推進工法が使用されており、推進工法は下水道整備と同時に進化してきたといっても過言ではないほどです。
昨今でも、下水道の施工に推進工法が採用されています。
人々の生活に欠かせないライフラインの整備にも推進工法は適しています。
実際、多くのガス管や水道管、送電線などのライフラインの整備に推進工法が用いられています。
また、昨今では景観を重視した街づくりのために、ライフラインの地中化が進んでいます。
以前は推進工法といえば下水道をイメージする方が多かったように、ライフラインの工事でも推進工法はますますメジャーになっています。
一口に推進工法といっても、その種類はさまざまです。細かい違いによって、その種類は何種類にも枝分かれしています。
ここでは、推進工法を4つに分けた場合の種類と特徴について解説します。
大中口径管推進工法は、呼び径800〜3,000の推進工法です。また、大中口径管推進工法もさらに2種類に分かれています。
1種類目は切羽が開かれている「開放型」と呼ばれる推進工法です。もう1種類は、切羽が開かれていない「密閉型」と呼ばれる推進工法です。
開放型は密閉型よりも簡単に準備できるため、短距離の工事でよく用いられています。
一方の閉鎖型は、長距離の工事でよく用いられている推進工法です。
また、密閉型推進工法は、土砂を搬出する方法などによって細かく分類されます。
密閉型推進工法の主な分類は下記のとおりです。
小口径管推進工法は呼び径700以下の推進工法です。
小口径管推進工法では、推進管や誘導管を先導体に接続し、遠隔操作により工事が進められます。
また小口径管推進工法は、用いる推進管により下記の2種類に分かれています。
小口径管推進工法の分類の1種類目は、高耐荷力管きょを推進管に用いる高耐荷力方式です。
管に対して直接推進力を加えて施工します。
さらに、高耐荷力方式は主に下記の5種類に分かれています。
小口径管推進工法の分類の2種類目は、低耐荷力管きょを推進管に用いる低耐荷力方式です。
先導体には推進のために推進力伝達ロッドを用いるのに対して、推進管には周囲の土に対する抵抗力のみを負担させます。
また、低耐荷力方式も下記のように詳しく分類されます。
鋼製管推進工法とは、鋼製のさや管を操作し進めていくことで掘り進む推進工法です。
発進立坑の使用、もしくは遠隔での操作により掘進します。
また、鋼製管推進工法は掘進の方法により下記の2種類に分類されます。
改築推進工法は、すでに埋設されている管きょを壊しつつ、新たな管きょを埋設する推進工法です。
埋設済みの管きょが何らかの理由で機能しなくなった場合に用いられます。
ただ、古い管きょから新しい管きょに交換する場合に必ず用いられるわけではなく、設計や工事の条件に応じて、改築推進工法で工事を進めるかどうかを検討します。
推進工法は、地面の掘削を最小限に抑えて水道管などの管きょを埋設する工事の方法です。
掘進機と推進管、油圧ジャッキを活用することで、多くの工程が地中だけで完結します。
そのため、道路や市街地など地面の掘削が難しい地域での工事に重宝されています。
ただ、推進工法のなかにも多くの種類があるので、工事内容に合わせた適切な選択が重要です。
推進工法についてさらに詳しく知りたい、推進工法に関してご相談したいという場合は、気軽に当社へお問い合わせください。
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