基礎鉄筋はコンクリートと鉄骨の強みをあわせ持つ構造です。
基礎鉄骨だけではカバーしきれない引っ張られる力に対して鉄筋が機能します。
この記事では、基礎鉄筋と基礎鉄骨の違いや、ベタ基礎と布基礎の違いについて解説します。
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基礎鉄筋と基礎鉄骨の違いは何でしょうか。
基礎鉄筋も基礎鉄骨、どちらも建物を建設する際の基礎を造る工事の方法です。
基礎工事とは、地盤と建設物をつなぐための工事であり、建築物の耐久性を支える工事でもあります。
建築物の基礎部分は外から見ただけでは判断できませんが、安定感に直結する重要な要素です。
では、鉄筋と鉄骨の違いを見てみましょう。
基礎鉄筋の「鉄筋」とは何でしょうか。
鉄筋とは、「鉄筋コンクリート」の略であり、コンクリートに鋼材を埋め込んだ構造です。
建築に精通していない方からすれば、ただでさえ頑丈そうなコンクリートに鋼材を埋め込む必要性はあるのか疑問に感じるかもしれません。
たしかに、コンクリートは頑丈です。
ただ、コンクリートは圧縮力にこそ頑丈さを発揮しますが、引っ張られる力に対しては脆弱です。
そこでコンクリートの弱みを補う存在として活躍するのは鉄筋です。
コンクリートが圧縮力に強く、引っ張られる力には弱いのに対し、鉄筋は圧縮力には弱いものの、引っ張られる力には耐久性を発揮します。
基礎鉄筋の特徴は、コンクリートと鉄筋の両方のメリットを取り入れた頑丈さです。
「基礎鉄筋」という言葉は広く使われていますが、「基礎鉄骨」という言葉は一般的に使われていません。
基礎鉄骨という言葉からイメージされるのは、鉄骨造と鉄筋コンクリート造の違いです。
住宅の家賃を比較するとわかるように、鉄骨造よりも鉄筋コンクリート造の方が建設にコストがかかります。
防音性や耐震性、耐火性は鉄筋コンクリート造の方が優れています。
ただ、通気性は鉄骨造の方が優秀なので、鉄骨造の方がカビなどのリスクを軽減できます。
基礎鉄筋の重要性について、下記の3点をお伝えします。
物理的性質とは、物質固有の密度などの性質です。
鉄筋の物理的性質は、主に下記の3つの指標で示されています。
上記3つの指標のなかでも特に注目すべきは密度でしょう。
鉄筋の密度が約7.85g/cm³であるのに対して、コンクリートの密度は約2.4 g/cm³です。
鉄筋の密度はコンクリートの密度の約3.27倍であり、高い密度を誇っていることがわかります。
機械的性質とは、材料の連続体としての力学的特性の総称です。
主に引っ張りや圧縮力に対して、どのくらいの耐久性を持っているかを示します。
鉄筋の機械的性質で注目すべきは下記の2点です。
上記の数値は日本工業規格により定められている規定です。
降伏点とは、文字どおり材料が壊れてしまう限界の外力の大きさを意味します。
材料に力を加えると、一定の力の強さまで材料は少しだけ変形し原型を留めます。
しかし、加えられる外力が一定値を超えると、材料が耐えられる限界を超え壊れてしまいます。
このように材料を破壊する外力の限界が降伏点です。
引張強度とは、引っ張る力に対して材料が壊れずに耐えられる最大の力を意味します。
そのため、引張強度は降伏点より低い数値で定められています。
ここまでお伝えしてきた内容から、基礎における鉄筋と鉄骨の違いを解説します。
鉄筋は、鉄骨とコンクリートの性質をあわせ持つ形式です。
鉄骨は頑丈な材料ではありますが、引っ張られる力には強いものの、圧縮力に対する強度はコンクリートより劣ります。
鉄筋はコンクリートに鉄骨を埋め込むことで、引っ張られる力と圧縮力の双方に対して強度を発揮します。
日本の住宅のほとんどは、ベタ基礎か布基礎で建築されています。
どちらも建築物と床をつなぐ箇所である点は共通していますが、支え方が異なります。ベタ基礎と布基礎、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
ベタ基礎は、鉄筋を床一面に密着させる構造です。床に密着している鉄筋全体で住宅を支えます。
そのため、耐震性に優れており、地震のリスクを軽減できると考えられています。
ベタ基礎の主なメリットは下記の3点です。
床と住宅の間を分厚いコンクリートがさえぎっているため、地面からの湿気を通しにくい構造です。
また、コンクリートが床と地面を隔てているため、シロアリの被害を防ぎやすい構造でもあります。
デメリットは布基礎よりもコストがかかることです。
床一面をコンクリートで覆うベタ基礎は、使用するコンクリートと鉄筋の量が多く、同じような住宅でも、布基礎と比較すると約2倍のコンクリートと鉄筋を使用すると考えられています。
布基礎は、住宅が立ち上がっている部分のみをコンクリートで支える構造です。
そのため、ベタ基礎のように床一面をコンクリートで支えるわけではなく、いくつかの柱のように住宅を支えます。
これにより、基礎に使用するコンクリートと鉄筋の量を削減し、低コストでの建築が可能です。一方で、デメリットとして下記の3点がベタ基礎に劣ります。
住宅を支えるコンクリートの面積が少ない分、布基礎はベタ基礎よりも耐震性に劣ります。
また、ベタ基礎における床部分のコンクリートの厚さが約15㎝であるのに対して、布基礎のコンクリートの厚さは約5㎝です。
立ち上がり部分以外に防水シートを敷きますが、湿気対策ではベタ基礎に敵いません。
同様の理由で、シロアリ対策もベタ基礎と比較すると不十分です。
布基礎のデメリットを3点解説しましたが、布基礎が不適切な構造というわけではありません。
あくまでも、ベタ基礎と比較した場合のデメリットとしてご紹介しました。
また、耐震性は基礎工事だけでは決まりません。地盤や住宅の構造などによっても耐震性は異なります。
基礎鉄筋の配筋基準として、下記の2点が定められています。
基礎鉄筋では上記の2点を満たす必要があります。
基礎鉄筋のピッチは、建築基準法で300mm以下と定められています。
ピッチとは、鉄筋と鉄筋の間隔です。鉄筋の間隔が300mmを超えてしまうと、基礎の強度が弱まってしまいます。
基礎鉄筋の配筋基準では、鉄筋量も重要です。
建築物によっては、確実に配筋基準を満たすために、ピッチではなく鉄筋量が明記されている場合もあります。
鉄筋量は建築基準法で定められており、コンクリートの断面積に対する鉄筋の断面積で計算されます。
基礎鉄筋は、コンクリートと鉄骨の特性をあわせ持つ構造です。
コンクリートと鉄骨、それぞれの弱点を補い合うことで高い強度を維持していることがメリットです。
また、基礎の性質はベタ基礎か布基礎かでも異なります。
基礎鉄筋についてさらに詳しく知りたい、基礎鉄筋に関してご相談したいという場合は、気軽に当社へお問い合わせください。
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