溶接の強度を高める方法のひとつに、開先加工があります。
開先加工は、溶接時に部材の周りに不純物が混入しないように品質を高め、溶接する箇所の強度を保つためにフチを削る加工のことです。
本記事では、開先加工とは具体的にどのような加工なのか、種類や方法についても詳しくポイントをまとめました。
弊社では、お客様の多様なニーズに応えるため、国内の4工場にて大型機械や各種加工設備を取り揃えています。
納期やコストに関するお困りごとなど、お気軽にご相談ください。
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開先加工とは、鉄や非鉄部材を溶接する際に、溶接箇所の強度や品質を確保するために、あらかじめつなぎ合わせる部分を適切な形に加工することです。
接合する部材に合わせて作るくぼみのことを開先、開先を作ることを開先加工と呼びます。
開先加工では、不純物が混入しないように開先部分だけではなく、少し広めに削る場合も。
また、開先断面の形状・開先角度は産業ごとの規格によって異なり、決められた規格公差内の加工が必要です。
開先加工のメリットは、以下の2つが挙げられます。
特に、アーク溶接を実施する際は、開先加工した厚板が広く使用されています。
開先加工は、強度・母材・素材の厚み・溶接箇所に合わせて、開先断面の形状を使い分けましょう。
参考:開先溶接の基礎と注意点 | 溶接の品質とトラブル | 溶接革命 | キーエンス
開先加工の開先断面は、主に以下の5つの種類に分けられます。
開先加工でよく使う用語もあわせてご確認ください。
I形の開先は、上記の図のように突き合わせ継ぎ手で使用される開先です。
薄板やアーク溶接の際に用いられ、コストや品質面において優れた開先といえるでしょう。
I形開先のメリットは、以下の4つが挙げられます。
しかし、汚れが付着している場合や開先の仕上げ状況によっては、継手の性能を左右する可能性も。
また、I形開先は開先角度をつけずに溶接する方法です。
そのため、溶け出した溶接材が背面まで届かず、部分的に溶け込んでいる状態となります。
板厚の厚みがあると完全溶け込みは難しいため、ほかの開先加工の検討が必要です。
V形開先は上記のような開先断面をしており、そのメリットは以下の3つが挙げられます。
しかし、溶接後の形状が非対称となりやすく、角変形が大きくなるのも特徴のひとつです。
部材に強度を出すように溶接するには、開先と接合材が背面まで一体化させる必要があります。
その際に用いられるのが、「完全溶け込み溶接」と呼ばれる複数回に分けて溶接する方法です。
完全溶け込み溶接は、高い溶接品質が求められ、強度設計の面においても信頼性の高い溶接方法として活用されています。
レ形開先は上記のような開先断面をしており、メリットは大きく分けて以下の2つです。
しかし、強度を保ちながら溶接する際には、開先角度やルート面をどのくらい残すのかなど、技術と知識が求められます。
J形の開先は、レ形の開先にカーブをつけた開先です。
J形開先のメリットは、以下の2つが挙げられます。
しかし、開先にカーブがついているため、開先加工がしにくいというデメリットもあります。
U形開先のメリットは、以下の2つが挙げられます。
しかし、カーブがついた開先は加工がしにくいというデメリットもあります。
開先加工する理由は、溶接する際に接合部の強度をあげるためです。
開先加工されていない部材同士を溶接する場合には溶着量も少なく、溶接の強度をあげられません。
また、板厚がある場合には、溶接が背面まで届かず部分的に溶け込んでいる溶接しかできないため注意しましょう。
一方、開先加工がしてある部材の溶接は、開先と接合材が背面まで強固に一体化した完全溶け込み溶接が可能です。
また、溶接部分の強度は、以下の3つで強度の調節ができます。
【関連記事】鉄鋼溶接の種類3選!メリット・デメリットも解説
開先加工の方法には、機械による開先加工と人の手による開先加工の2種類があります。
開先加工は産業ごとの規格によって異なり、規格公差内でなければいけません。
しかし、人の手による開先加工は、品質にばらつきや開先加工に時間がかかることも。
そのため近年では、開先加工機による加工が主流で、大型の機械から片手で使えるものまで幅広く展開されています。
開先加工機は、加工したい部材を固定し、切削部分を回転させながら角度をつけて切断するシンプルな構造です。
切削部分の角度を変更することで、開先角度も調整できます。
直角に切断されている面に開先加工するのは、通常の開先加工機の使用で問題ありません。
しかし、切断面に角度がついている場合の開先加工は、極めて難しいといえるでしょう。
そういった場合には、プラズマ・レーザー・ガスを使用した溶断機を使い、開先と切断形状を一度に作成します。
これらの溶断機を使用すると、熱による歪みや変形が生じることもあり、精密機械に使用される開先加工には用いられないため注意してください。
また、作業前後で開先のサイズが変わるおそれもあるため、規格公差内であるか検査が必要です。
開先加工する際の注意点は、以下の2つです。
開先加工には、用途・材料・板厚の厚み・口径・溶接環境に応じた形状にすることが重要です。
材料に適した開先加工がされていない場合には、溶接不良や作業性の低下を招く恐れがあります。
弊社は三重県鈴鹿市に本社を置く、金属加工メーカーです。
広大な敷地を活用した大型の設備を多数取り揃え、お客様からの困難な課題にも「南条なら、安心して任せられる」という信頼の声をいただいています。
大規模設備を有する本社工場や亀山工場をはじめ、東北工場や関東工場の全国4拠点に工場を構え、高品質な製品とスピーディーな対応を実現。
開先加工機(ハタリー)やH形鋼開先加工機など、大型の開先加工機も取り揃えております。
開先加工機(ハタリー)は、60m/nに対応し有効長L3,000・6,000の加工も可能です。
H形鋼開先加工機は、H形鋼のフランジ部分を削って加工し、H900×300まで対応しています。
他社では加工できないような大型部品の加工も、ぜひ弊社にお任せください。
弊社で稼働している設備につきましては、設備紹介からご覧ください。
お客様のニーズに幅広くお応えしているため、お困りごとや相談などありましたら、お気軽にお問い合わせください。
開先加工は、溶接の強度と品質を保つために必要な加工です。開先断面の形状は、産業ごとの規格によって異なります。
強度と品質を保った溶接のためには、それぞれの用途に適した開先の形状を選びましょう。
弊社では国内屈指の大型機械や、熟練した技術を兼ね備えているのも大きな特徴です。
他社では難しいと言われた加工につきましても、ぜひ弊社までお気軽にご相談ください。
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