汎用フライスとは異なり、プログラミングにより工具を操作できるため、誰が操作しても高品質の工作物を作れます。
便利なNCフライス盤ですが、決して万能なわけではありません。
加工の内容に応じて、適切に機械や工具を使い分けることが重要です。
この記事では、NCフライス盤のメリットや特徴、旋盤とマシニングセンタとの違いについて解説します。
目次:タップで該当箇所へジャンプ1 NCフライス盤とは1.1 NC工作機械とは1.2 CNCフライス盤とは1.3 切削加工で重宝されている2 NCフライス盤のメリット2.1 複雑な加工に適している2.2 作業者の技術に依存しない3 NCフライス盤の種類3.1 NC横フライス盤3.2 小型NCフライス盤3.3 卓上CNCフライス盤4 NCフライス盤とマシニングセンタの違い5 NCフライス盤と旋盤の違い6 まとめ
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NCフライス盤とは、金属の切削加工でよく使われているNC工作機械です。
工具の交換を手作業で行い、交換が済んだらNCフライス盤が自動で加工を行います。
フライス加工はもちろんのこと、工作物に穴をあける「穴あけ加工」や、一度あけた穴を広げる「中ぐり加工」でも使用されています。
NCフライス盤の中にもさまざまな種類があります。工作物や加工の内容に応じて、適切な種類のNCフライス盤を使用することが重要です。
NC工作機械とは、数値制御の装置を搭載した工作機械です。
「NC」は「Numerical Control」の頭文字を取った言葉であり、日本語で「数値制御」を意味します。
プログラムにより制御がかけられているため、工作物の品質を一定に保てます。
CNCフライス盤とは、NCフライス盤にコンピューターが搭載された機械です。
「Computer」の頭文字の「C」に「NC」を加えて「CNCフライス盤」と名付けられました。
コンピューターを搭載している分、CNCフライス盤の方がより高精度で加工を進められます。
NCフライス盤は切削加工を行う際に重宝されている工作機械です。特にフライス加工には欠かせない存在でしょう。
というのも、汎用フライスではどうしても品質にばらつきが出てしまうからです。
高精度かつ人手が不要のNCフライス盤を導入するケースが一般的です。
NCフライス盤の主なメリットを2つご紹介します。
NCフライス盤の主なメリットの1つ目は、複雑な加工に適していることです。
数値制御機能を搭載しているNCフライス盤なら、複雑な加工でもプログラミングどおりに加工を進められます。
人間の手では不可能に思える複雑な加工でも、機械ならば難なく実施できます。
また、数値制御により非常に細かい加工も行えます。
どれほど高い技術を持った作業者でも、精度には限界があります。
NCフライス盤ならば、プログラミングを行えば確実に高精度の加工が可能です。
NCフライス盤の主なメリットの2つ目は、作業者の技術に依存しないことです。
汎用フライスの場合は、工作物の出来栄えに作業者の技術が大きく影響します。
高い技術を持った作業者なら行える加工でも、不慣れた作業者では同じような精度は出せません。
また、作業者が体調を崩した場合や退職した場合などに、代わりに誰も加工を行えない事態に陥ってしまう可能性もあります。
NCフライス盤を導入しておけば、作業者に依存することなく、安定して高品質な工作物を生産できる環境を整えられます。
NCフライス盤の主な種類を3つご紹介します。
NCフライス盤の主な種類の1つ目は、NC横フライス盤です。
NC横フライス盤は、刃が付いた回転軸が横向きについたNCフライス盤です。
工作物に回転する刃を押し当てることで削り、形を整えます。
NCフライス盤の主な種類の2つ目は、小型NCフライス盤です。
小型NCフライス盤は、文字どおり通常のNCフライス盤よりも小型の加工機です。
サイズが小さい分、大きな工作物の加工や、大量の工作物の生産には適していません。
その代わりに、低コストで導入可能で、わずかなスペースでも設置できます。
また、小型NCフライス盤の一種にNC彫刻機があります。
工作物の表面に立体的な彫刻を刻む場合やマーキングを施す加工に最適です。
彫刻やマーキングを行う加工機として、他にレーザー加工機がよく使われています。
ただ、レーザー加工機よりもNC彫刻機の方が少ないコストで購入できます。
一方、生産力ではNC加工機よりもレーザー加工機のほうが優れています。
NCフライス盤の主な種類の3つ目は、卓上CNCフライス盤です。
卓上CNCフライス盤とは、NCフライス盤の中でも特に小型の工作機です。
商品の部品の製作に使われる事は少なく、研究や試作の部品を作るために使われています。
また、昨今では3Dプリンターの出力と合わせて活用するケースが増えています。
NCフライス盤とマシニングセンタの違いを解説します。
NCフライス盤とは数値制御の装置を搭載した工作機械です。
工具を人の手で交換しながら加工を進めます。
一方、マシニングセンタは自動工具交換装置を搭載しているため、機械が使用する工具を自動で交換します。
NCフライス盤とマシニングセンタの違いは、工具の交換を人が行うか、機械が自動で行うかです。
基本的にマシニングセンタはNC装置を搭載しているため、マシニングセンタの中にNCフライス盤が含まれているイメージです。
マシニングセンタは、NC装置や、自動で工具を収納し交換する「ATC」、交換した工具を回転させる「スピンドル」、工作物を固定する「インデックステーブル」など、さまざまな部品で作られています。
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NCフライス盤と旋盤では、用いる加工方法が異なります。
NCフライス盤も旋盤も、どちらも切削加工で活躍している工作機械である点は共通しています。
ただ、NCフライス盤が使用されるのは「フライス加工」であるのに対して、旋盤が使用されるのは「旋削加工」です。
フライス加工では、固定した工作物に高速で回転する工具を押し当てることで加工を行います。
一方、旋削加工では工作物を高速で回転させ、工具に押し当てることで加工を行います。
このように、フライス加工に使用されるNCフライス盤と、旋削加工に使用される旋盤では、使われるシチュエーションが異なります。
また、NCフライス盤はNC工作機械ですが、旋盤が必ずNC工作機械であるとはかぎりません。
今回はNCフライス盤について、旋盤やマシニングセンタとの違いを踏まえつつ、メリットや種類を解説しました。
数値制御により作業者の技術に依存することなく高品質な工作物を生産できるNCフライス盤は、フライス加工ではなくてはならない存在です。
また、昨今ではコンピューターを搭載したCNCフライス盤がよりメジャーになりました。
他にも、工具を自動で交換する機能を搭載したNC工作機械であるマシニングセンタなども普及しており、どの加工にどの機械を使用するかを上手く考える必要性が高まっています。
NCフライス盤や切削加工の知識を深め、工作物の加工を効率化しましょう。
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