風力発電の風車を海上に設置する洋上風力発電は、陸上風力にないメリットをもち、今後の普及が注目されている発電方法です。
海外では導入が進んでいる国もありますが、実際のところ、洋上風力発電はどれくらいの発電量をまかなえるのでしょうか。
この記事では、洋上風力発電の発電量について解説していきます。
目次:タップで該当箇所へジャンプ1 洋上風力発電の発電量はどれくらいか1.1 日本の発電量の現状1.2 さらに大規模な洋上風力発電を開発中2 海外における洋上風力発電の発電量3 今後の日本の導入目標4 まとめ
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洋上風力発電ではどれくらいの発電が可能で、どの程度の需要をまかなえるのか、日本における洋上風力発電の発電量をみていきましょう。
日本にある洋上風力発電の数は、2020年12月時点で7カ所28基、発電量58.6MWです。
設備利用率20%として計算すると、1年間に生み出す電力は約1億266万kWhで、1基あたり約367万kWhとなります。
2017年度の一般家庭における世帯当たりの電力使用量は4,322kWhなので、日本の洋上風力発電は、一般世帯約23,754世帯分、1基あたり約849世帯分の使用電力をまかなえる計算です。
千葉県館山市の世帯数が23,175世帯でちょうど同じくらいになるため、日本全体の洋上風力発電をすべて動員しても、やっと一都市の年間消費電力をまかなえる程度というわけです。
これを見ればわかるように、日本の洋上風力発電はまだまだ開発段階にあり、実用的といえる発電量には届いていないのが現状です。
現在、日本では、さらに規模の大きな洋上風力発電施設の建設が進められていて、完成すれば、従来よりもはるかに多くの電力需要をまかなえるようになります。
一例として、長崎県西海市崎戸町江島の沖合に建設されている西海江島沖洋上風力発電事業のケースをみていきましょう。
西海江島沖の洋上風力では、1基あたり9,525kWを発電できる風車を25基建設予定です。
設備利用率を30%とした場合、1年間の発電量は1基あたり約2,503万kWhで、総発電量は約6億2,579万kWhになります。
1基あたりでは一般家庭の年間電力消費量5,791世帯で、全体では約14万4,792世帯分に相当する電力量です。
東京都渋谷区の世帯数が約14万世帯となっているため、ここだけで渋谷区の家庭における電力需要をまかなえる計算になります。
完成すれば、現時点の日本全国の洋上風力発電の約6倍の発電が可能になり、日本における洋上風力発電の発電量は飛躍的に向上するでしょう。
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日本ではまだまだ発展途上にある洋上風力発電ですが、海外ではかなり導入が進んでいます。
海外における洋上風力発電量は2008年に1.5GWでしたが、2020年には35GWと約23倍に成長しています。
日本の現在の発電量58.6MWと比べると600倍近い数値で、如何に海外で洋上風力発電の普及が進められているかがよくわかります。
国別にみると、最も導入が進んでいるのがイギリス(10.4 GW)で、中国(10 GW)、ドイツ(7.7 GW)の順になり、この3カ国だけで世界の総発電量の8割近くを占めています。
ヨーロッパは洋上風力発電が盛んな地域ですが、なかでもイギリスは長い海岸線をもつ国土事情にも合っていて、国内消費電力の3分の1をまかなうという計画を立て、導入を進めてきました。
現在のところ、海外に比べて大きく遅れている日本の洋上風力発電ですが、イギリスと同様に島国で国土を海に囲まれた日本には高いポテンシャルがあるといえ、今後の取り組み次第では大きく発展する可能性もあります。
それでは、日本における今後の洋上風力発電の導入目標はどうなっているかをみていきましょう。
2020年12月、政府は「洋上風力産業ビジョン」を発表し、2030年までに1,000万kW(10000MW)、2040年までに最大4,500万kW(45000 MW)の導入目標を掲げました。
実現すれば発電量は、1,000万kWで現在の約170倍、4,500万kWで約767倍にもなり、かなり高い目標を設定しているのがわかります。
2019年には洋上風力発電を推進する再エネ海域利用法が施行され、西海江島沖のほかにも青森や秋田、千葉など日本各地で新しい洋上風力発電開発が進められています。
日本政府は2,050年までに温室効果ガスの排出を全体でゼロにするカーボンニュートラルを目指すことを宣言しており、その目標を達成するのはもちろん、広大な領海や経済水域を有する日本の国土的な優位性を活かすためにも、さらなる洋上風力発電の導入が期待されます。
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今回は、日本や世界における洋上風力発電の発電量をご紹介しました。
日本の洋上風力発電はまだまだ規模が小さく、現時点では発電量に占める割合もわずかです。
しかし、政府は今後、20年ほどの間で発電量を飛躍的に向上させる目標を掲げており、周囲を海に囲まれた日本にとって、洋上風力発電のさらなる発展は望ましいことといえます。
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