風の力を利用して風車を回転させ、発電を行う風力発電は、近年の地球温暖化問題とともに注目を集めている再生可能エネルギーの1つです。
なかでも、風車を海上に設置する洋上風力発電は、ヨーロッパで導入国が増えており、周囲を海に囲まれた国土をもつ日本でも期待が高まっています。
今回は、洋上風力発電の仕組みや種類、陸上風力発電との違いについて紹介していきます。
目次:タップで該当箇所へジャンプ1 洋上風力発電の仕組み1.1 洋上風力発電の発電方法1.2 洋上風力発電と陸上風力発電の違い2 洋上風力発電の種類2.1 種類①:浮体式2.2 種類②:着床式3 まとめ
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風力発電で風車が海上や港湾内などに設置されるタイプは、陸上風力発電と区別され、洋上風力発電と呼ばれます。
はじめに、発電方法や陸上風力発電と異なる部分など、洋上風力発電の仕組みを解説します。
洋上風力発電も風車の構造や電気が作られる仕組みなど、基本的な発電方法は陸上風力発電と変わらず、風の力を利用して風車の羽部を回転させ、発電機を動かしています。
風車の羽根部分はブレードと呼ばれ、風が当たるとブレードが回転し、その動きは動力伝達軸を通じて、風車後部に設置されたナセルと呼ばれるボックスへと伝えられます。
ナセル内には、増速機や発電機、ピッチやヨーの制御機器、ブレーキ装置、風向計・風速計など発電と制御に関する設備が備わっています。
ナセルに送られた回転は、増速機へと伝わり、ギアを使ってさらに回転数を増加させ、速度を高めた回転によって発電機を動かし、風の力を電力へと変換しています。
風車の鉄塔内にはトランスも設置されており、発電された電気は必要な電圧へと昇圧されて送電線へ送られます。
発電方法に大きな違いはないのですが、洋上風力発電には陸上に設置される風車と異なる部分が2つあります。
1つ目は、発電した電気を送るための送電方法です。
洋上風力発電は電気を陸上にある電力網へと送るため、風車から陸地まで海底送電ケーブルを敷設する必要があります。
そのため、設置の際は、風車の設置だけでなくケーブル敷設の費用も考えなければなりません。
海底ケーブルのコストは海底の地形や水深、潮流などによって変化し、さらに施工後も定期的に保守作業が必要になります。
2つ目の違いは風車の基礎部分です。
海上に風車を設置する洋上風力発電では、基礎部分に陸上風力とは異なる構造と技術が求められます。
現在、洋上風力発電では、大きく2種類の設置方式が用いられています。
それぞれについて、さらに詳しくみていきましょう。
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洋上風力発電は基礎構造の違いによって浮体式と着床式の2つに分けられます。
それぞれの特徴とメリット、デメリットを解説します。
洋上に船舶のような浮体構造物を設置し、海底のシンカーに繋ぎ止めておく方式です。
風車は完全には固定されず、浮いているだけですが、シンカーがあるので大きく流される心配もなく、同じ場所にとどまって安定した発電が可能になります。
浮体式のメリットは、より広い海域で洋上風力発電が利用可能になることです。
風車を海底に固定する方式では、水深が深くなると、経済的・技術的に風車の設置が難しくなるため、洋上風力発電が可能な場所が限られていました。
その点、浮体式なら、これまで風車の設置に適さないとされていた水深50mを越える海域でも発電が可能になり、さらに、海底に基礎を埋め込むのと比べて設置にかかる費用が安く抑えられるメリットもあります。
浮体式が普及すれば、風向きや風の強さなどが発電に向いていても、水深の関係から風車を設置できなかったところでも発電ができるようになると考えられ、洋上風力発電の可能性を高める浮体式には、ゲームチェンジャーとして期待が集まっています。
風車の基礎となる支持構造物を海底に直接埋め込み、固定する方式です。
これまで洋上風力発電として、一般的に用いられてきた方法で、現在稼働している洋上風力発電設備のほとんどは着床式です。
浮体式よりも技術的な導入のハードルは低い点はメリットといえるでしょう。
しかし、着床式には、水深50mを越える海域では採算性が悪くなるため、遠浅の海のように、ある程度条件が整った場所にしか導入できないデメリットがあります。
水深の深い場所ではコストと技術の面から設置が難しく、着床式では利用可能な海域が限定されてしまいます。
これまでの洋上風力発電で主流を担ってきた着床式ですが、将来的にはこの方法だけでは開発に行き詰まってしまう可能性が高く、浮体式のような新しい技術の普及が望まれています。
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今回は、洋上風力発電の仕組みについて解説してきました。
洋上風力発電は、環境負荷の少ない再生可能エネルギーのなかでも、四方を海に囲まれた海洋国である日本にとって期待できる発電方法です。
浮体式など新しい技術の開発が進めば、日本でも導入が広がる可能性もあり、今後、ますます注目すべきといえるでしょう。
もっと洋上風力発電について理解を深めたいという場合は、気軽に当社へお問い合わせください。
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