HOMEPick Up日本で洋上風力発電を拡大させるには?現状と解決すべき課題を解説

日本で洋上風力発電を拡大させるには?現状と解決すべき課題を解説

日本で洋上風力発電を拡大させるには?現状と解決すべき課題を解説

海上に風力発電の風車を設置する洋上風力発電は、四方を海に囲まれた海洋国の日本が大きな可能性をもつ再生可能エネルギーとして普及への期待が高まっています。

日本政府も今後、洋上風力発電をさらに導入していく目標を掲げていますが、そのためには、さまざまな課題も存在しています。

この記事では、日本の洋上風力発電が抱える課題について解説していきます。

▼弊社の会社概要はコチラからご覧いただけます。

 

日本の洋上風力発電の現状

現在の日本の洋上風力発電は、海外に比べると、まだまだ普及が進んでいるとはいえない状態で、今後のさらなる拡大が求められています。

2020年12月時点で、日本全国には7カ所28基が設置されていて、発電量は58.6MWとなっています。

しかし、これは日本の風力発電全体のわずか1.3%に過ぎません。

海外では洋上風力発電の導入が進んでいる国も多く、日本と同じ島国であるイギリスは導入量トップで世界をリードしており、日本にも同様に高いポテンシャルがあると考えられます。

日本政府は、2030年までに発電量を現在の170倍である10GWに向上させる目標を打ち立て、洋上風力発電の導入を促進しています。

しかし、現在の日本では実証試験段階のものが多いこともあり、経済性・実用性を備えた洋上風力発電を実現するには、解決しなければならない数々の課題があります。

【関連記事】洋上風力発電機の構造と、その基礎となる大型加工部品を徹底解説!

 

洋上風力発電の課題とは

日本に洋上風力発電を普及させていく上での7つの課題をご紹介します。

  1. 設置コスト
  2. 風車の技術開発
  3. メンテナンスコスト
  4. 他の海面利用者の理解
  5. 海域の占有ルール
  6. 基地港湾の整備
  7. 資金調達

 

課題①:設置コスト

1つ目の課題は、洋上風力発電は陸上風力発電と比べてコストが高額になってしまう点です。

洋上に風車を設置するには、基礎部分を海底に固定したり、浮体式構造物に乗せたりする必要があります。

ほかにも、変電設備や陸地に電力を送るケーブルを敷設しなければなりません。

そのため、洋上風力発電の設置費用は陸上の約2倍かかるといわれています。

コストは水深によっても変わり、日本では深い海域に設置するケースが多いため、さらに費用も高額になってしまうと考えられます。

 

課題②:風車の技術開発

2つ目は、技術的な問題です。

洋上風力発電は、メンテナンスが難しく、塩害による影響も受けるため、信頼性の高い技術がなければ頻繁に故障してしまいます。

また、水深が深い場所では風車の設置コストが大きくなるため、1基あたりの発電量を増やさなければ費用を回収できません。

そのため、より多く発電できる大型の風車が求められ、今後は、大型でも信頼性の高い風車を実現できる技術開発が課題になってきます。

 

課題③:メンテナンスコスト

3つ目の課題は陸上風力と比べて維持費が高額になることです。

発電量の大きな風車でもきちんとメンテナンスしなければ、発電効率が落ち、経済性が悪化してしまいます。

しかし、洋上風力発電のメンテナンスは、点検要員を風車まで移動させるのに船舶が必要となるほか、海面の状況によっては風車に移れない場合もあり、効率が悪くなるため費用がかかります。

さらに、海底送電ケーブルの整備など、陸上風力にはない費用もコスト増の一因になります。

 

課題④:他の海面利用者の理解

4つ目の課題は他の海面利用者の理解をどのようにして得るかです。

海を利用するには洋上風力発電だけではなく、漁業関係者海運業者など、他の海面利用者が反対していれば開発は進められません。

洋上風力発電の設置が周辺環境を悪化させる可能性もあるため、環境アセスメントなどルール作りをしっかりと行い、理解を求めていく必要があります。

 

課題⑤:海域の占有ルール

5つ目は、海域の占有ルールが整備されていないことです。

洋上風力発電が設置される海域の大半は一般海域と呼ばれ、長期にわたる独占使用である占有のルールが明確に定められていません。

都道府県から出される占有許可は3~5年が一般的ですが、洋上風力発電を設置するには短すぎるのが問題で、将来の事業見通しが不透明となってしまい、事業者の資金調達が難しくなる恐れがあります。

 

課題⑥:基地港湾の整備

6つ目は、洋上風力発電の設置に不可欠な基地港湾の整備が進んでいない点です。

洋上風力発電設備を維持するには、メンテナンス作業に使用する船舶の拠点となり、資材・交換部品などが保管できる港湾設備が必要になります。

日本では、2020年9月に初めて4つの港が洋上風力の基地港湾に指定されたばかりで、洋上風力発電普及を目指すなら、今後まだまだ整備を進めていかなければならない状態です。

 

課題⑦:資金調達

7つ目は洋上風力発電事業者の資金調達の難しさです。

洋上風力発電は陸上風力発電と比べてコストがかかる上、高い技術開発のためにも多額の資金が求められます。

それだけに経済性や価格競争力を実現するのが難しく、過去には採算性から企業が撤退したケースもあります。

海外でも政府の支援体制が洋上風力発電の普及を左右している面があり、民間業者だけでの資金調達には限界があるといえるでしょう。

【関連動画】洋上風力発電機部品を加工する大型機械設備をご紹介

 

まとめ

今回は、日本で洋上風力発電を拡大していくための課題をご紹介しました。

洋上風力発電は、周囲を海に囲まれた島国の日本に合った発電方式といえますが、普及させるにはまだまだ多くの問題があります。

今後は、行政によるルール作りや事業者を支援するための援助制度の拡充が必要といえるでしょう。

もっと洋上風力発電について理解を深めたいという場合は、気軽に当社へお問い合わせください。

【関連記事】洋上風力発電機の構造と、その基礎となる大型加工部品を徹底解説!
【関連記事】高周波曲げとは | メリットやデメリット、重要なポイントを解説
【関連記事】5面加工機とは?5軸加工機との違いやメリット・デメリットも解説

 

▼弊社の資料はコチラからご覧いただけます。