金属加工において、なくてはならないものであるショットブラスト。
ショットブラストで加工を行うことで、加工物の表面積が増え、より密着度が向上します。
また、表面積を削るため、滑り止めなどの効果を高められるでしょう。
この記事では、ショットブラストとサンドブラストとの違いや、メリット・デメリットを解説します。
さらに、ショットブラストを使用する目的と種類も紹介するため、ショットブラストについて理解を深めたい人はぜひ参考にしてください。
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ショットブラストとは、金属などを加工する方法の1つです。具体的には、以下3つの工程で加工されます。
「ブラスト」や「研掃機」ともいわれます。
ワークとは、ショットブラストの対象となる加工物のことです。たとえば、下記のような素材があります。
硬いものが一般的ですが、ゴムなど軟らかいものにも使用可能です。
ショットブラストは表面を処理するためだけに使用される方法だけではなく、家などの「建築」や道路など社会インフラにも活用されています。
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サンドブラストとは、砂や投射材を圧縮空気により吹き付けて、加工物の表面を削る加工方法のことです。
もともとは、研磨剤に使用されていたため、「サンド」ブラストと呼ばれていました。
ガラスに模様をつけたり、木材を深く削りこむことも可能です。
ショットブラストとサンドブラストでは、加工するものに吹き付ける投射材が異なります。
ショットブラストの投射材は下記のものがあります。
硬質なものが多く、形状は球、円筒型になっています。
サンドブラストの投射材は下記のものです。
ショットブラストは、鉄骨など鋼材への下処理のために使われ、サンドブラストは船や車などサイズの大きなものを加工するために使われます。
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次にショットブラストのメリット・デメリットを紹介します。
まずショットブラストのメリットは以下の2つです。
ショットブラストは、投射材を噴射させて加工物の表面に凹凸を作る方法です。
凹凸によってペンキなどの塗装が表面に密着するため、長持ちします。
車や船などの大きな加工物だと何度も塗り直しができないため、塗装が長持ちすることはコストも減らすことにもつながります。
塗装前にショットブラストで加工するとよいでしょう。
また、ショットブラストは大量の投射材を一気に噴射させられます。
噴射させる量が多いことで、一度に大量の製品を加工できます。
また、噴射量を調整することもできるため、製品の仕上がりに変化をもたらせることが可能です。
次にショットブラストのデメリットを2つ解説します。
ショットブラストで加工すると光沢が出にくくなります。
表面にとても細かな凹凸を作っていることになるため、光の反射が弱くなることも。
光沢を出したい製品の場合は、投射材を変えることも検討しましょう。
また、ショットブラストの投射力はモーターの性能によって変わるため、投射力が弱い場合がある点もデメリットの1つです。
このように、メリット、デメリットを理解したうえで、ショットブラストを用途に合わせて使えるとよいでしょう。
金属などの表面に凹凸を作って加工するショットブラストですが、どのような目的で使われているのか気になるでしょう。
目的は以下の3つが挙げられます。
1つずつ解説していきます。
まず1つ目の目的は、表面処理のための下地処理をすることです。下地処理の種類は以下のとおりです。
表面積に凹凸をつくると、塗料や接着剤を使用する際に、密着度が増します。
そのため、塗料が取れにくくなったり、接着剤をはがれにくくさせるため、製品の色落ちを防ぐことが可能です。
また、ショットブラストで加工することで、表面に凹凸ができて荒くなるため、滑り止めやゆるみ止めなどの効果を高められます。
錆や汚れの除去も目的の1つです。
錆があると、製品の表面や内部を腐食させてしまう可能性があります。
ショットブラストで錆を落とすことで腐食を防ぎやすくなります。
錆を少しでも残したくない場合は、ショットブラストで加工するのがおすすめです。
さらに、ショットブラストでは汚れを除去することもできます。
加工前の鋼材には、ミルスケールという鉄の酸化物が付いています。
ショットブラストで投射材を噴射することで、ミルスケールの除去が可能です。
ショットブラストで表面を削ることにより、耐久性を上げることができます。
なぜなら、細かい投射材を打ち付けることで、表面に熱を発生させ、投射材が離れていく時に熱がさまされる現象が起こるからです。それを加工硬化といいます。
その結果、表面が硬くなることで、耐久性も上がるというわけです。
耐久性が上がると製品が丈夫になることや、摩耗や壊れにくくもなるでしょう。
また、部品を使用する寿命も伸ばせるため、ショットブラストする行程を含めた方がコスト削減にもつながるでしょう。
車や船、アパートといった建物などさまざまな部品に加工を施すショットブラストですが、いくつか種類があります。
ショットブラストの種類は以下2つです。
下記で詳しく見ていきましょう。
大きな部品や形が複雑なもの、自動化が難しいものだと、手動ショットブラストを使用するのが望ましいでしょう。
なぜなら、手動だとピンポイントで加工ができることや、機械に入らない大きな製品は手動で加工する必要があるからです。
手動ショットブラストは手で持つエアーガンで行います。自動とは違い、人がノズルを持って動かし加工します。
投射角度や投射幅など調整できるため、細かい部分まで削ることが可能です。
しかし、手動ショットブラストの難点は、加工する部品が大きければ大きいほど時間がかかることです。
部品にあわせて手動か自動か選ぶとよいでしょう。
自動ショットブラストは、機械に製品を大量に入れて、表面加工をする場合に重宝するものです。
自動ショットブラストには以下の種類があります。
1つひとつ見ていきましょう。
テーブル式とは、ターンテーブルに加工した製品を載せて、テーブルを回転させることで、表面を削るなどの加工ができる装置です。
製品の大きさや形を問わず加工ができ、製品同士ぶつかることがないため、目立った傷にならないように処理できます。
効率よく処理ができるため、時間を短縮させながら精度の高い加工が可能です。
ローラーコンベアー式とは、ローラーにのせコンベアーで運ばれながら加工できる装置です。
船や建物などに使われる長い製品を加工するのに適しています。
また、上下面両方に作業することができるため、効率よく作業が進められます。
人が加工する製品をローラーコンベアーの入口にのせて、出てきたものを取り出すという作業のため、簡単に製品の出し入れができるのが特徴です。
ハンガー式とは、加工する製品をハンガー形状の器具に吊るし、回転させて処理を行う装置です。
ハンガーの公転と自転を組み合わせた完全自動操作で、製品同士ぶつかることがないため、打痕を気にすることなく加工できます。
装置によっては、別の製品同士を吊るしての加工もでき、一回の作業で全面を仕上げることで効率的な加工ができるのが特徴です。
この記事では、ショットブラストのメリット・デメリット、目的や種類を紹介しました。
ショットブラストで表面を削る加工をすることで、錆止めや耐久性も上がることが分かったのではないでしょうか。
一方で、表面を削ることで、光沢感が出にくかったり、投射力が弱いなど、デメリットにも気を付けなければなりません。
しかし、表面を加工することで、製品の見栄えや硬度も高められるため、必要な作業工程といえるでしょう。
南条製作所では、ショットブラストの機械も揃っているため、気になる方は、見積もり依頼・お問い合わせから気軽にご相談ください。
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