ステンレスパイプは耐熱性や耐食性に強く、さまざまな環境で活躍できる部材です。
耐久性に富んでいる反面、加工難易度が高いデメリットも持っています。
しかし、要点を押さえることで、加工品質を引き上げることも可能です。
この記事では、ステンレスパイプの加工種類やポイントを具体的に解説します。
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ステンレスパイプとは、鉄を主成分とした合金です。
表面がクロム(Cr)の酸化被膜で覆われており、空気との接触を遮断することで錆にくい特性を持っています。
軽量性と強度を併せ持ち、溶接などの加工性に優れている点も魅力です。
主に食品器具やボイラ設備に利用され、場所問わず幅広い環境で使用されています。
クロムの含有量によって特性が変わるため、使用用途によって使い分けやすい点も特徴といえるでしょう。
ステンレスパイプの加工は、大きく4つに分類されます。
それぞれの工程で終了する加工もあれば、複数の加工を組み合わせて製品にすることもあります。
また、一部の加工技術は習得難度が高く、熟練したスキルが求められる場合も。
それぞれの加工について解説します。
切断加工は、サイズ変更や形状変化が必要な場合に行う加工です。
おもに3種類の加工方法が存在し、用途に応じて使い分けます。
それぞれ短所と長所を持っているため、材質や加工用途に応じた使い分けが重要です。
また、ステンレスパイプは熱伝導率が低く、熱がこもりやすい特徴を持っています。
連続して加工すると材料が熱を持ち、ひび割れの原因につながることも。
工具選定を欠かさずおこない、作業間隔の調整が重要な工程といえます。
引用元:日本伸管|熱伝導率とは
曲げ加工は、ステンレスパイプに角度を付けて折り曲げる加工です。
使用されるシチュエーションによってさまざまな曲げ方を要求されるため、加工難易度も高いといえます。
ほかにも曲げ形状がたくさん存在し、加工方法はすべて異なります。
ステンレスタイプは加工硬化(※)を起こしやすく、複数回に分けて加工することも珍しくありません。
(※)力を加えると硬化する現象。
材料に熱がこもり、焼き付きを起こすこともあるため、職人の腕が光る加工作業といえるでしょう。
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穴あけ加工は、ステンレスパイプに穴をあける加工です。
おもに3種類の加工方法が存在し、形状によって使い分けます。
ステンレスパイプの穴あけ加工は、4種類の加工方法で最難関といわれています。
円形という特性上からドリルが外に逃げやすく、穴位置がズレることも珍しくありません。
職人の技術が試される加工方法でもあるため、品質の差が露呈しやすい作業ともいえるでしょう。
溶接加工は、ステンレスパイプ同士を接合させる加工です。
おもにTig溶接と呼ばれる手法を使い、タングステンとシールドガス(不活性ガス)を用います。
シールドガスによって空気を遮断し、酸化を防ぎつつ美しい溶接痕を残せる点が特徴です。
接合のみならば比較的カンタンに行えるものの、強度と見た目の良さを両立させるために「ローリング(※)」と呼ばれるテクニックが必要になることも。
(※)手首を捻りながら溶接することで、溶け込み量と幅を均一化するテクニック。
結合しているように見える部分でも、酸化腐食や溶接割れが起きている場合も少なくありません。
特殊な方法でひび割れをチェックすることもあり、検査を含めた繊細さが求められる作業といえるでしょう。
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ステンレスパイプを加工するときのポイントは3つです。
熟練した技術も必要ですが、事前の準備や少しの工夫で品質を向上させることも可能です。
それぞれのポイントについて解説します。
酸素を遮断する「シールドガス(不活性ガス)」を用いることで、ステンレスパイプの溶接酸化を防げます。
酸化反応は外観を損なうだけでなく、気泡が発生して強度低下につながることも。
また、「スパッタ」と呼ばれる、火花のような金属粒の発生を抑える効果もあります。
シールドガスを用いることで、溶接加工の品質を底上げできるのです。
ステンレスパイプは材質の特性上、硬度と熱に対する適切な設計が求められます。
母材(※)よりも柔らかい道具を使ってしまうと、加工不良や仕上がりに影響がでることも。
(※)加工する材料。
切断作業で丸鋸を使う場合など、ノコギリの回転速度を上げることで摩擦熱が発生し、母材にダメージを与える可能性も考えられます。
ステンレスパイプは加工条件が難しいため、材質にあわせた工具選定や、加工方法の設計が重要です。
ステンレスパイプは材質の特性上、加工硬化を引き起こしやすく、複数回に分けて加工することが求められます。
回数を分けて癖付けることで母材へのダメージを軽減し、スプリングバック(元の形状に戻ろうとする動き)を防ぐ効果も。
ステンレスは熱伝導率の低さから熱がこもりやすく、時間を置いて摩擦熱を冷却する意味でも有効といえるでしょう。
また、加工時に使用する部材も痛みやすいため、こまめに付け替えることもポイントです。
ステンレスパイプ加工の注意点は3つです。
ステンレスパイプは加工難易度が高い材料であるため、要点を押さえて母材へのダメージを防ぐことが重要です。
それぞれの注意点を具体的に解説します。
ステンレスパイプは、クロムの含有量により硬度や耐熱性などが変化します。
種類による特性を見抜けず加工不良を起こしたり、納入先で機能不良を起こしたりすることも珍しくありません。
加工方法や求められる機能から必要スペックを算出し、最適な材料選びが重要です。
また、種類によって加工コストも変動するため、ステンレスパイプ加工には材料知識も欠かせません。
ステンレスは熱伝導率が低いため放熱が起こりにくく、ほかの金属よりも高温になりやすい特徴を持っています。
熱がこもることで材料がもろくなり、ひび割れの原因になる場合も。
母材の負担を減らすことを心掛け、熱を意識した加工方法が重要となります。
ステンレスは硬度が高く、工具が先に削れてしまうことも珍しくありません。
材質に合わせた工具を選定できていない場合、品質低下や加工不良につながることも。
また、摩耗によって工具の加工能力が低下することも考えられるため、想定される使用回数よりも早めの交換が重要です。
ステンレスパイプ加工でお悩みの方は、ぜひ南条製作所にご依頼ください。
経験豊富な技術者だけでなく、設備投資にも力を入れて最新の加工機も導入。
自動車産業で盛んな三重県鈴鹿で続く、70年以上の歴史に嘘偽りはございません。
「こんな形状の加工は無理だよな」と悩む前に、ぜひ一度お声掛けしてくださることを心待ちにしております。
弊社で取り扱っている設備につきましては、こちらの設備紹介をご覧ください。
ステンレスパイプは加工の難易度が高いため、方法に応じたポイントを押さえることを意識しましょう。
ステンレスパイプは耐熱性や耐食性に優れている反面、加工方法に注意すべき点も少なくありません。
材質ごとの特徴を理解したうえで、適切な加工をおこなうことが重要です。
ステンレスパイプの加工にお悩みの方は、ぜひ弊社へご連絡ください。
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