HOMEPick Upステンレスパイプとは?加工の種類や加工する際のポイントについて解説

ステンレスパイプとは?加工の種類や加工する際のポイントについて解説

ステンレスパイプとは?加工の種類や加工する際のポイントについて解説

ステンレスパイプは耐熱性や耐食性に強く、さまざまな環境で活躍できる部材です。

耐久性に富んでいる反面、加工難易度が高いデメリットも持っています。

しかし、要点を押さえることで、加工品質を引き上げることも可能です。

この記事では、ステンレスパイプの加工種類やポイントを具体的に解説します。

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ステンレスパイプとは

ステンレスパイプとは、鉄を主成分とした合金です。

表面がクロム(Cr)の酸化被膜で覆われており、空気との接触を遮断することで錆にくい特性を持っています

軽量性と強度を併せ持ち、溶接などの加工性に優れている点も魅力です。

主に食品器具やボイラ設備に利用され、場所問わず幅広い環境で使用されています。

クロムの含有量によって特性が変わるため、使用用途によって使い分けやすい点も特徴といえるでしょう。

 

ステンレスパイプ加工の4種類

ステンレスパイプの加工は、大きく4つに分類されます。

  1. 切断
  2. 曲げ
  3. 穴あけ
  4. 溶接

それぞれの工程で終了する加工もあれば、複数の加工を組み合わせて製品にすることもあります。

また、一部の加工技術は習得難度が高く、熟練したスキルが求められる場合も。

それぞれの加工について解説します。

 

種類①:切断

切断加工は、サイズ変更や形状変化が必要な場合に行う加工です

おもに3種類の加工方法が存在し、用途に応じて使い分けます。

加工名称 長所 短所
旋盤加工 精密寸法での加工が可能 加工に時間が掛かる
レーザー加工 バリが出にくく仕上がりも綺麗 専用の設備が必要
丸鋸加工 低コストでの加工が可能 肉厚が薄いと潰れてしまう

それぞれ短所と長所を持っているため、材質や加工用途に応じた使い分けが重要です。

また、ステンレスパイプは熱伝導率が低く、熱がこもりやすい特徴を持っています。

連続して加工すると材料が熱を持ち、ひび割れの原因につながることも。

工具選定を欠かさずおこない、作業間隔の調整が重要な工程といえます。

引用元:日本伸管|熱伝導率とは

 

種類②:曲げ

曲げ加工は、ステンレスパイプに角度を付けて折り曲げる加工です

使用されるシチュエーションによってさまざまな曲げ方を要求されるため、加工難易度も高いといえます。

  • への字曲げ
  • L字曲げ
  • U字曲げ

ほかにも曲げ形状がたくさん存在し、加工方法はすべて異なります。

ステンレスタイプは加工硬化(※)を起こしやすく、複数回に分けて加工することも珍しくありません。

(※)力を加えると硬化する現象。

材料に熱がこもり、焼き付きを起こすこともあるため、職人の腕が光る加工作業といえるでしょう。

【関連記事】高周波曲げとは | メリットやデメリット、重要なポイントを解説

 

種類③:穴あけ

穴あけ加工は、ステンレスパイプに穴をあける加工です

おもに3種類の加工方法が存在し、形状によって使い分けます。

加工名称 長所 短所
フライス盤加工 複雑な形状の穴あけが可能 加工に時間が掛かる
ボール盤加工 工程が少なく作業工数を抑えられる 安定した品質には一定の技術が必要
レーザー加工 高精度かつ仕上がりの良い加工が行える 一部の形状で使用できない

ステンレスパイプの穴あけ加工は、4種類の加工方法で最難関といわれています。

円形という特性上からドリルが外に逃げやすく、穴位置がズレることも珍しくありません。

職人の技術が試される加工方法でもあるため、品質の差が露呈しやすい作業ともいえるでしょう。

 

種類④:溶接

溶接加工は、ステンレスパイプ同士を接合させる加工です

おもにTig溶接と呼ばれる手法を使い、タングステンとシールドガス(不活性ガス)を用います。

シールドガスによって空気を遮断し、酸化を防ぎつつ美しい溶接痕を残せる点が特徴です

接合のみならば比較的カンタンに行えるものの、強度と見た目の良さを両立させるために「ローリング(※)」と呼ばれるテクニックが必要になることも。

(※)手首を捻りながら溶接することで、溶け込み量と幅を均一化するテクニック。

結合しているように見える部分でも、酸化腐食や溶接割れが起きている場合も少なくありません

特殊な方法でひび割れをチェックすることもあり、検査を含めた繊細さが求められる作業といえるでしょう。

【関連記事】ステンレス溶接加工とは?6つの溶接方法と3つの種類についてわかりやすく解説

 

ステンレスパイプを加工するときのポイント3つ

ステンレスパイプを加工するときのポイントは3つです。

  1. シールドガスを用いて切断面を綺麗に保つ
  2. 適切な設計
  3. 回数を分けて作業

熟練した技術も必要ですが、事前の準備や少しの工夫で品質を向上させることも可能です。

それぞれのポイントについて解説します。

 

ポイント①:シールドガスを用いて切断面を綺麗に保つ

酸素を遮断する「シールドガス(不活性ガス)」を用いることで、ステンレスパイプの溶接酸化を防げます

酸化反応は外観を損なうだけでなく、気泡が発生して強度低下につながることも。

また、「スパッタ」と呼ばれる、火花のような金属粒の発生を抑える効果もあります。

シールドガスを用いることで、溶接加工の品質を底上げできるのです。

 

ポイント②:適切な設計

ステンレスパイプは材質の特性上、硬度と熱に対する適切な設計が求められます

母材(※)よりも柔らかい道具を使ってしまうと、加工不良や仕上がりに影響がでることも。

(※)加工する材料。

切断作業で丸鋸を使う場合など、ノコギリの回転速度を上げることで摩擦熱が発生し、母材にダメージを与える可能性も考えられます。

ステンレスパイプは加工条件が難しいため、材質にあわせた工具選定や、加工方法の設計が重要です

 

ポイント③:回数を分けて作業

ステンレスパイプは材質の特性上、加工硬化を引き起こしやすく、複数回に分けて加工することが求められます。

回数を分けて癖付けることで母材へのダメージを軽減し、スプリングバック(元の形状に戻ろうとする動き)を防ぐ効果も。

ステンレスは熱伝導率の低さから熱がこもりやすく、時間を置いて摩擦熱を冷却する意味でも有効といえるでしょう。

また、加工時に使用する部材も痛みやすいため、こまめに付け替えることもポイントです。

 

ステンレスパイプを加工するときの注意点3つ

ステンレスパイプ加工の注意点は3つです。

  1. 種類によって特徴が異なる
  2. 熱伝導率が悪く高熱になりやすい
  3. 工具が摩耗しやすい

ステンレスパイプは加工難易度が高い材料であるため、要点を押さえて母材へのダメージを防ぐことが重要です。

それぞれの注意点を具体的に解説します。

 

注意点①:種類によって特徴が異なる

ステンレスパイプは、クロムの含有量により硬度や耐熱性などが変化します。

種類による特性を見抜けず加工不良を起こしたり、納入先で機能不良を起こしたりすることも珍しくありません。

加工方法や求められる機能から必要スペックを算出し、最適な材料選びが重要です。

また、種類によって加工コストも変動するため、ステンレスパイプ加工には材料知識も欠かせません

 

注意点②:熱伝導率が悪く高熱になりやすい

ステンレスは熱伝導率が低いため放熱が起こりにくく、ほかの金属よりも高温になりやすい特徴を持っています。

  • 加工速度を調整して摩擦熱を低下させる
  • 冷却効果を持つ適切な切削油を利用する
  • 連続稼働ではなく複数に分けて加工する

熱がこもることで材料がもろくなり、ひび割れの原因になる場合も

母材の負担を減らすことを心掛け、熱を意識した加工方法が重要となります。

 

注意点③:工具が摩耗しやすい

ステンレスは硬度が高く、工具が先に削れてしまうことも珍しくありません

材質に合わせた工具を選定できていない場合、品質低下や加工不良につながることも。

また、摩耗によって工具の加工能力が低下することも考えられるため、想定される使用回数よりも早めの交換が重要です。

 

ステンレスパイプ加工なら南条製作所

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まとめ

ステンレスパイプは加工の難易度が高いため、方法に応じたポイントを押さえることを意識しましょう。

  • 硬度や熱伝導率の低さから加工難易度が高い
  • 成分の含有量によって異なる特徴を持っている
  • 工具選定や加工方法の設計が品質向上のポイント

ステンレスパイプは耐熱性や耐食性に優れている反面、加工方法に注意すべき点も少なくありません。

材質ごとの特徴を理解したうえで、適切な加工をおこなうことが重要です。

ステンレスパイプの加工にお悩みの方は、ぜひ弊社へご連絡ください。

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