世界情勢や新型コロナウイルスの影響もあり、鉄鋼業界は変わりつつあります。
世界の鉄鋼業界事情は変わっていますが、日本の鉄鋼業界は今後どうなっていくのでしょうか。
本記事では、日本の鉄鋼業界の現状と課題、今後の展望を解説します。
最後には、環境問題へ取り組む事例も紹介するので、鉄鋼業界に携わっている方は、ぜひご覧ください。
目次:タップで該当箇所へジャンプ1 日本の鉄鋼業界の現状2 日本の鉄鋼業界の課題4選2.1 課題①:中国の存在2.2 課題②:国内需要の低下2.3 課題③:電炉メーカーの再編2.4 課題④:原材料の調達方法3 日本の鉄鋼業界はどうなる?今後の展望5選3.1 展望①:世界の鉄鋼需要は伸びていく3.2 展望②:技術力で勝負3.3 展望③:輸出を進める3.4 展望④:業界再編が加速する3.5 展望⑤:環境問題への対応4 日本の鉄鋼業界の今後を見据えた南条製作所の取り組み5 まとめ
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日本の中で鉄鋼は重要な産業とされており、自動車や産業機械など、さまざまな場所で使われています。
また、日本の粗鋼生産量は2020年時点で世界第3位になっており、多くの国へ輸出されているのが現状です。
しかし、日本の鉄鋼業界は海外に大きく影響を受けており、業績が伸びた背景は海外での自動車等の需要が増えたことによるものと考えられています。
日本の鉄鋼業界は現在、大規模な設備削減や業界再編の必要性に迫られています。現状は深刻と言えるでしょう。
引用元:Global crude steel output decreases by 0.9% in 2020|World Steel
現在の日本の鉄鋼業界には、課題がいくつか存在します。日本の鉄鋼業界の主な課題は、下記の4つです。
鉄鋼業界に携わっている方は、知っておくべき内容です。チェックしておきましょう。
現在の鉄鋼業界を語るうえで、中国の存在は欠かせません。
中国は過去40年間、世界主要鉄鋼メーカーの生産量ランキングで上位に入ったことがありませんでした。
しかし、2013年ごろから上位に入るようになり、上位10社中6社を中国のメーカーが占める年もありました。
中国の生産量が大幅に上がり、世界でのシェアも急速に上がっています。
背景には、中国の過剰生産があります。
中国は近年、アメリカとの間の貿易摩擦に対応するための景気刺激策として、粗鋼生産量を大幅に増加させてきました。
その影響で鉄鋼製品全体の価格が下がり、日本国内からの輸出量も減少しています。
中国の動きは、世界の鉄鋼業界全体に影響を及ぼします。今後も中国の動きからは目が離せません。
国内の粗鋼需要は低下しています。
これは人口減少が関係しており、日本の人口は2010年ごろをピークとして、減少傾向です。
少子高齢化と出生率低下が起こっているため、人口減少とともに粗鋼の需要も低下していきます。
1990年ごろは国内中心のビジネスモデルでしたが、現在の日本の鉄鋼業界は輸出中心のビジネスモデルになっています。
ただ、中国も大きな力を持っているため、輸出にだけ頼るのはリスクがあるでしょう。
鉄鋼製品の製造メーカーは、大きく下記の2つに分けられます。
高炉メーカーは鉄鉱石を原料として、高炉を使って製鋼する企業を指し、電炉メーカーは鉄スクラップを原料として、電炉を使って製鋼する企業を指します。
高炉メーカーと電炉メーカーの大きな違いは、「海外の需要があるか」です。
建築や土木に使うH形鋼や鋼板を扱う電炉メーカーは、高炉メーカーに比べると海外の需要があります。
アメリカでは70%に近い企業が電炉メーカーに該当し、韓国や台湾、EUなども積極的に電炉を導入しています。
これらの国々は、電炉メーカーの比率を高めて、業界内で躍進してきました。
しかし、日本の電炉メーカーの比率は2020年時点でも20%に届いておらず、世界的に見ると低いです。
この状況が続くとの日本は世界から置いて行かれてしまうため、電炉メーカーの比率上昇がカギになります。
原材料の調達方法も課題の一つです。
日本は、原材料の多くを海外から輸入しています。そのため、輸入ができなくなると日本の鉄鋼業界とっては大問題です。
原材料の調達方法を増やすには、利益を出す必要があります。
利益を出すには、粗鋼生産量やシェアを増やさなければなりません。
そのため、他の課題が解決していけば、原材料の調達方法の課題も解決していくでしょう。
日本の鉄鋼業界は現状で多くの課題を抱えていますが、今後はどうなるのでしょうか。
日本の鉄鋼業界がたどるであろう今後の展望は、下記の5つです。
鉄鋼業界に関わっている方は、今後の展望も知っておく必要があります。把握しておきましょう。
世界の鉄鋼需要は、今後も伸びていくでしょう。
世界鉄鋼協会によると、2021年の世界の鉄鋼需要量は18.7億トン、2022年は19.2億トンと予測されています。
世界的に見れば、人口も増加しており経済成長もしています。長期的に見ても世界の鉄鋼需要は拡大していくでしょう。
日本の鉄鋼業界の最大の武器は、「技術力」です。長年にわたって培われた技術力は、世界から見ても随一と言えます。
日本なら、海外では生産が難しい「高級鋼材」を作れます。
他にも自動車向けの鋼板や石油や天然ガスの採掘用のパイプ、輸送に用いられるパイプラインなど、高度な技術が必要な鋼材は、日本の技術力が必要です。
日本の技術力を武器に、新たな市場を開拓していければ世界と勝負できるでしょう。
鉄鋼業界は世界で需要があります。日本国内で生産された鉄鋼は、世界各国へ輸出されています。
国内のみでビジネスをするよりは、海外にも目を向けるべきです。
特に近年は、アジア地域の経済発展が著しいです。中国を始め、ASEAN加盟国が次々と成長しています。
鉄はもはや、ビルや鉄道などの生活インフラに欠かせない存在になっています。日本の技術力は世界に必要なため、世界からの需要は高いです。
グローバルな生産・供給体制を構築できれば、日本は今後も世界で活躍できるでしょう。
ここ数年、米中貿易摩擦などの影響や新型コロナウイルスの影響で、鉄鋼業界はダメージを受けていました。
このまま影響が長期化すれば、国内外ともに需要が減り、生産が落ち込むことが考えられます。
需要の変化に対応するため、業界再編が進むでしょう。
日本でもすでに業界再編が進んでおり、『呉製鉄所』の閉鎖などの影響が出ています。
鉄鋼業界全体が、「事業の選択と集中」に迫られるでしょう。
世界の状況が大きく変わらなければ、日本も業界再編の必要があります。
今後はどの業界でも、環境問題への対応は必須です。
2015年の国連サミットをきっかけとして、『SDGs』や『ESG経営』など、環境問題への関心が高まってきています。
国内も無関係ではなく、環境にやさしい事業をしている企業や、社会奉仕活動をしている企業が求められています。
鉄鋼業界も環境問題への対応は必須で、自然エネルギーを活用するモノの部品を作るなどの活動をするべきです。
日本の鉄鋼メーカーは、今後を見据えた取り組みが必要です。南条製作所では今後を見据えて、取り組みを行っています。
南条製作所では環境を意識した風力発電部品の受注を積極的に行っており、カーボンニュートラルの実現に向けて活動しています。
風力発電機の制作ができる企業は国内でも数少なく、自社ができる環境問題への対策を行っているところです。
風力発電の基礎やシャフト、ブレードやナセル等の加工が可能です。
風力発電機の部品製造を必要とされている企業様は、ぜひ一度ご相談ください。
日本の鉄鋼業界は2020年時点で世界第3位ですが、現状は深刻です。いくつか課題も抱えており、特に海外の動向は注目する必要があります。
ただ、世界の鉄鋼需要は伸びていくと予想されているため、日本の技術力を武器に世界へ輸出を進められれば、日本も世界で戦っていけるでしょう。
いずれにせよ、このままでは日本の鉄鋼業界は、世界に飲み込まれてしまいます。
早めの対処が、日本の鉄鋼業界の未来につながるでしょう。
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