金属加工には様々な種類があります。
一口に金属加工といっても、どのような金属をどのように加工するのかによって、大きく異なるのです。
そしてそれらは用途によっても複数に分岐するため、非常に多くの種類が存在します。
鋼板加工も複数ある金属加工の一種です。
本記事では鋼板加工について詳しく解説しています。
特徴や加工の種類に関しても言及しているため、金属の加工について詳しく知りたい方は本記事を参考にしてください。
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鋼板とは一般的に言う鉄板の一種で、加工前の金属板のことです。
特に「鉄」にマンガンや炭素、リン硫黄などの成分を加えて、加工用に強度や靭性を調整したものは「鋼板」と呼ばれます。
鉄板も純粋な鉄から出来ているわけではないため、広い意味で言えば鉄板も鋼板の仲間になります。
ただし、銅板や合板とは異なるため、注意しましょう。
鋼板加工とは、ただの板である鋼板に様々な加工を施し、製品の材料にしたり、製品化したりすること。
加工には単純な加工から複雑な加工まで多くの種類があります。
鋼板を加工し、そのまま製品になる場合もあれば、製品の材料になる場合もあります。
鋼板加工の種類に関しては次で詳しく解説します。
鋼板加工の種類は以下の4つです。
鋼板加工には様々な種類がありますが、その中でも代表的なこれらの種類に関して解説していきます。
1つ目の加工方法は、板金加工です。
板金加工とは、プレスブレーキという機械を使用して直線的な曲げを施す加工方法のこと。
板金加工には金属の性質が大きく関わっており、どこまで力を加えると戻らずに加工できるかなど技術と経験が重要な加工です。
板金加工は「抜き」「曲げ」「溶接」を組み合わせるため、同じものを大量に作る製品には向いていません。
一方で製品に変更が生じても柔軟な対応ができる加工方法であるため、少量で多くの種類の製品を生産するのに向いています。
2つ目の加工方法は、プレス加工です。
板金加工とよく似ていますが、プレス加工ではプレス機と専用の金型を使用して製品を加工します。
板金加工と同様に曲げにも対応し、穴あけなども加工内に含まれます。
専用の金型を使用するため、金型さえ作ってしまえば同一製品の大量生産ができる加工方法です。
デメリットとしては専用の金型を作る段階での初期費用が高くなること、金型に押し付ける際の衝撃音が大きくなることが挙げられます。
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3つ目の加工方法は、曲げ加工です。
広く言えば、板金加工もプレス加工も曲げ加工の一種ですが、曲げ加工の中でも多くの種類があり、ローラーや熱を用いて曲げを行う加工方法もあります。
金属加工は高い技術力が必要になりますが、曲げ加工でも金属の性質を理解した上での技術力が大切です。
金属は加工されても元に戻ろうとする性質であるスプリングバックが働きます。
曲げ加工ではその性質が顕著に出るため、同じ加工をしてもずれが生じてしまうのです。
製品構想の段階で、スプリングバックを計算しておかなければ同一製品が作れないため、技術力と経験が必要になる加工方法です。
4つ目の加工方法は、穴開け加工です。
穴開け加工は、他の加工方法と組み合わせて加工することが多く、曲げ加工後に穴開け加工を施したり、プレス加工の中で穴開け加工を組み合わせたりすることもあります。
一見地味に見える穴開け加工ですが、量産加工の中でも穴開け加工は約6割を占めているともいわれています。
NCボール盤やマシニングセンタという機械を用いて加工を施すことが多いですが、他にも様々な機械が使われて加工される加工方法です。
穴開け加工にも多くの種類があり、製品によって使い分ける必要があります。
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鋼板の代表的な種類は以下の6つです。
それぞれの種類の説明と併せて特徴を紹介します。
1つ目の種類は、熱間圧延鋼材(黒皮)です。
熱間圧廷鋼材とは、比較的安価で入手しやすい材料のため使われる頻度が高い種類です。
900℃から1,200℃の高温で圧廷された材料で、スケールと呼ばれる黒い酸化膜で覆われていることから「黒皮」や「HOT」とも呼ばれます。
曲げ加工や深絞り加工に適した材料です。
特徴として、金属材料自体を高温にするため、加工する際の力が小さくて済むこと、再結晶温度よりも高い温度で加工するため、加工硬化を起こさないことが挙げられます。
2つ目の種類は、熱間圧廷鋼板(酸洗鋼板)です。
1つ目とほぼ同様のものですが、表面に施されている黒皮(酸化膜)を酸で除去したため、酸洗鋼板と呼ばれています。
黒皮の場合は塗装性が低く、削ると表面がポロポロしてしまいますが、酸洗鋼板の場合は、表面に膜がないため、塗装性に優れています。
防錆加工をしたいときや、塗装したいときには酸洗鋼板の方が適しているでしょう。
3つ目の種類は冷間圧廷鋼板(コールド材)です。
1つ目と2つ目は高温で処理する材料でしたが、冷間圧廷鋼板は名前の通り冷間処理して使用する材料を指します。
特徴として、滑らかで光沢のある表面、熱間圧廷鋼板よりも薄い、伸びが良く加工がしやすい点が挙げられます。
曲げ加工や絞り加工が向いていますが、加工しやすい素材のためどの加工にも向いている材料です。
ただ非常に酸化しやすく、表面処理が必要です。長期の保存には向かず、取り扱いも難しいため注意しましょう。
4つ目の種類は、電気亜鉛メッキ鋼板(ポンデ鋼板)です。
電気亜鉛メッキ鋼板は冷間圧廷鋼板の一種で、冷間圧廷鋼板に電気亜鉛メッキ処理を施した材料を指します。
表面処理をした鋼板の中では流通性が高い材料で、よく使われています。
冷間圧廷鋼板の良さを引き継ぎながらも、亜鉛メッキによる防錆効果、美しい見た目で機械部品のカバーなどにも使われる材料です。
デメリットとしては、表面処理を施しているためスパンクルという模様が出る可能性のある点、加工の際に金型に亜鉛メッキがつく点が挙げられます。
加工する際は注意しましょう。
5つ目の種類は、溶解亜鉛メッキ鋼板です。
一般的にトタンと呼ばれる材料で、聞いたことがある人も多い馴染みのある材料です。
こちらも冷間圧廷鋼板の一種で、表面に溶解亜鉛メッキを施しています。
電気亜鉛メッキよりも表面の膜の厚さがあり、耐食性に優れた材料です。
そのため、屋外に置くものや屋外でよく使うものにも多く使用されます。
6つ目の種類は、電気メッキ鋼板です。
ブリキとも呼ばれる電気メッキ鋼板ですが、溶解亜鉛メッキと同様に冷間圧廷鋼板の一種です。
冷間圧廷鋼板の表面に電気すずメッキを施しており、柔らかく加工がしやすい点が特徴とされています。
表面のすずは融点が低いため、溶接する際のはんだ付けがしやすい材料です。
飲料や塗料の容器などによく使用されています。
鋼板とは、鉄にリン硫黄やマンガン等を混ぜて加工しやすくした材料のこと。
加工方法は様々で、板金加工やプレス加工、曲げ加工や穴開け加工などです。
鋼板の中にも種類が多く存在し、加工方法や製品によって使い分ける必要があります。
鋼板の種類は以下の6つです。
南条製作所では、高い技術力、様々な機械が必要となる鋼板加工を承っております。
国内に4工場を構える弊社では設備も豊富で、技術力にも自信があります。
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