HOMEPick Up9種類の鉄鋼を徹底解説 | 材質や特徴についてもご紹介

9種類の鉄鋼を徹底解説 | 材質や特徴についてもご紹介

9種類の鉄鋼を徹底解説 | 材質や特徴についてもご紹介

鉄鋼にはさまざまな種類があります。それぞれの特性を理解していれば、適切な鉄鋼を選択可能です。

本記事では、鉄鋼材料・材質の分類や炭素鋼・合金鋼の分類、鉄鋼の選び方を解説します。

鉄鋼業界に携わっている方、興味のある方はぜひご覧ください。

 

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鉄鋼材料・材質の分類3選

鉄鋼材料・材質の分類3選

鉄鋼材料・材質には、さまざまな種類があります。大きく分けると、鉄鋼材料・材質の種類は下記の3つです。

  1. 炭素鋼
  2. 合金鋼
  3. 鋳鉄

鉄鋼材料・材質には、それぞれ特徴があります。把握しておきましょう。

 

分類①:炭素鋼

炭素鋼は鉄と炭素の合金の中で、炭素量が0.02%~2%までの鉄鋼素材のことです。

主成分は鉄と炭素で、他にはケイ素・マンガン・不純物リン・硫黄・銅を含みます。

炭素鋼の中でも市販されている形状は違い、JIS規格で品種が細かく分類されています。

炭素含有量によって分けられている種類は、下記のとおりです。

  • 冷間圧延鋼板(SPC材):炭素含有量~0.1%
  • 一般構造用圧延鋼材(SS材):炭素含有量0.1~0.3%
  • 機械構造用炭素鋼鋼材(S-C材):炭素含有量0.1~0.6%
  • 炭素工具鋼鋼材(SK材):炭素含有量0.6~1.5%

炭素鋼の種類については、後述する「炭素鋼の種類4選と特徴」で詳しく解説します。

 

分類②:合金鋼

合金鋼は鉄鋼素材の五大元素に、ほかの金属元素を添加したものです。鉄鋼素材の五大元素は、下記の5つです。

  1. 炭素
  2. ケイ素
  3. マンガン
  4. リン
  5. 硫黄

合金鋼で使われる元素としては、下記のようなものがあります。

  1. クロム(Cr)
  2. ニッケル(Ni)
  3. モリブデン(Mo)
  4. タングステン(W)
  5. コバルト(Co)

合金鋼は炭素鋼に比べて性能は上がりますが、添加する元素が多くなるためコストも高くなります。

形状や寸法のバリエーションが少ないため、炭素鋼では要望を満たせない場合に使用するのが一般的です。

 

分類③:鋳鉄

鋳鉄と炭素鋼や合金鋼との最大の違いは、鉄鋼材料と加工方法が違うことです。

金属を溶かして型に流し込み、冷やして固める加工方法を鋳造(ちゅうぞう)と言います。

鋳造に適した材料が鋳鉄です。

鋳鉄に求められるのは、型が複雑でも溶けた材料がすみずみまで流れることです。

そのため、鋳鉄は炭素量を多くして、融点を下げています。

融点を下げることにより、型の中でスムーズに流れるようにしています。

ポイントは、鋳鉄は引張よりも圧縮に強いため、圧縮方向に力がかかるような設計にすることです。

 

炭素鋼の種類4選と特徴

炭素鋼の種類4選と特徴

炭素鋼の中でも種類があり、主に4種類に分けられます。炭素鋼の種類は、下記の4つです。

  1. SPC材
  2. SS材
  3. S-C材
  4. SK材

炭素鋼の分け方は炭素含有量によって分けられるため、知っておきましょう。

 

種類①:SPC材

SPC材は冷間圧延で製造される、厚さ0.4〜3.2mmの鋼板を指します。

冷蔵庫のボディに使用されるような薄い板材です。大きな力が加わる箇所には向いていませんが、加工性は良く、主に板金機械のプレス加工や曲げ加工に使用されます。

特徴としては、炭素量は0.15%以下と低く、炭素鋼の中で最もやわらかいです。

ただ、炭素量が少ないため、焼入れの効果は得られません。用途によって、SPCCやSPCE、SPCDなどの種類があります。

 

種類②:SS材

SS材はSPC材の次に炭素量が多く、炭素含有量は0.1〜0.3%です。

安価で汎用性があるため、最も普及しています。

丸棒や角棒、鋼板や形鋼など様々な形状があり、汎用材としてよく使われます。

加工性・溶接性はありますが、SPC材と同様で炭素量が少ないため、焼入れの効果は得られません。

一般的にSSの後に数字が続き、その数字は引っ張り強さの最低保証値を表しています。

JIS規格でよく使われるのは、SS400です。

 

種類③:S-C材

S-C材はSS材と同様、SPC材の次に炭素量が多い炭素鋼で、SS材の次に普及しています。

SとCの間に数字が入り、その数字は炭素量の割合です。例えば、S10Cであれば、炭素量は0.10%となります。

JIS規格にはS10C~S58Cまで20種類ありますが、主に使われるのはS45CやS50Cです。

炭素量が多いほど強く硬くなるため、SPC材やSS材よりも硬くなります。

炭素量0.3%以上になると焼入れ効果も高くなるため、焼き入れ効果も期待できます。

 

種類④:SK材

SK材は炭素量0.6~1.5%と、最も炭素量を含んでいる炭素鋼です。

SとKの間に数字が入り、炭素含有率を表しています。例えば、SK95であれば、炭素含有量は0.95%です。

硬さと耐摩耗性に優れており、工具としてよく使われるため『炭素工具鋼』と名づけられています。

ピンやシャフトにも使われるケースが多いです。

焼き入れをすると硬さは0.6%まで上がり、耐摩耗性は炭素量に比例して強くなります。

ただ、SK材は高温になると硬さが低下するため、高温部には向いていません。200度以下が目安です。

 

合金鋼の種類5選と特徴

合金鋼の種類5選と特徴

合金鋼の中でも種類があり、主に5種類に分けられます。合金鋼の種類は、下記の5つです。

  1. SUS材(ステンレス鋼)
  2. SK〜材(合金工具鋼)
  3. 機械構造用合金鋼
  4. 超硬合金
  5. ハイテン鋼

合金鋼の分け方は細かいため、チェックしておきましょう。

 

種類①:SUS材(ステンレス鋼)

SUS材は合金鋼の中で最もよく使われ、汚れやサビに強いです。

鉄鋼素材の五大元素に、クロムとニッケルを加えて作られます。

SUS材の中でもクロムとニッケルの含有量によって、下記3つに分けられます。

  1. SUS304(クロム18%、ニッケル8%)
  2. SUS430(クロム18%、ニッケル0%)
  3. SUS410(クロム13%、ニッケル0%)

加工もしやすく強度もあるため、利便性が高く、さまざまな用途で用いられます。

 

種類②:SK〜材(合金工具鋼)

硬い素材が必要なときはSK材を使いますが、SK材では硬さや耐摩耗性を満たせない場合にSK~材が使われます。

SK~材は合金工具鋼とも呼ばれ、鉄鋼素材の五大元素にクロム、バナジウム、タングステンを添加して、硬さや耐摩耗性、耐熱性を向上させています。

硬度を活かし、切断用の器具やドリルによく使われます。

ただ、SK〜材自体に硬さがあるため、材料自体の加工性は良くありません。

 

種類③:機械構造用合金鋼

機械構造の部品では主に炭素鋼と合金鋼が使われますが、より強度と靭性が求められる場合には合金鋼が使われます。

合金鋼は炭素鋼と比べて素材の中心部まで焼き入りしやすく、機械的性質に優れています。

強度と粘り強さが必要なシャフトや、歯車などの部品として使われることが多いです。

 

種類④:超硬合金

超硬合金は名前のとおり、非常に強い硬度を持ちます。

下記の素材に、鉄やコバルト、ニッケルで結合した合金鋼です。

  • クロム
  • タングステン
  • モリブデン
  • チタン
  • ジルコニウム
  • ハフニウム
  • バナジウム
  • ニオブ
  • タンタル

超硬合金は耐摩耗性が良く高温でも硬度が低下しないため、スローアウェイの旋盤用工具のチップや工具などに使用されます。

ただ、価格が高く粘り強さが小さい、衝撃に弱いことなどがデメリットです。

 

種類⑤:ハイテン鋼

ハイテン鋼は高張力鋼とも呼ばれ、引っ張りの強さが非常に強いのが特徴です。

具体的には、汎用的な炭素鋼SS400と比べ、ハイテン鋼は2倍以上の引っ張り強度があります。

薄くて丈夫なため、電車・自動車のボディに使われており、車体の軽量化や燃費向上に役立ちます。

他にも、ガスタンクや側溝の排水蓋などに使われることが多いです。

ハイテン鋼は今なお成分や製法の研究が進められており、今後の進歩が期待できます。

 

鉄鋼の種類と選び方

鉄鋼の種類と選び方

鉄鋼は主に炭素鋼4種、合金鋼5種から選択します。よく使われるのは、汎用性の高いSS400やS45Cです。

鉄鋼の選び方の主なチェックポイントは、下記のとおりです。

  • 高温の場所で使うか
  • 屋外で使うか
  • 強度が必要か
  • 軽さや環境への耐性が必要か
  • コスト
  • サイズ

鉄鋼にはそれぞれ特性があるため、最適なものを選びましょう。

 

まとめ

鉄鋼材料・材質には、さまざまな種類があり、主に下記の3つに分けられます。

  1. 炭素鋼
  2. 合金鋼
  3. 鋳鉄

炭素鋼と合金鋼はその中でもさらに細かく分かれ、それぞれ特性を持っています。

特性を知っていれば適切な鉄鋼を選べるため、本記事を参考に把握しておきましょう。

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