鉄鋼溶接には、いくつか種類があります。鉄鋼溶接の種類を知っていれば適切な接合方法を選べるため、モノづくりに関わっている方は知っておきましょう。
本記事では、溶接とは何かや鉄鋼溶接の種類、溶接のメリット・デメリットを解説します。
本記事を読めば溶接について一通り理解できるため、ぜひ最後までお読みください。
目次:タップで該当箇所へジャンプ1 鉄鋼に欠かせない溶接とは2 鉄鋼溶接の種類3選2.1 種類①:融接2.2 種類②:圧接2.3 種類③:ろう接3 鉄鋼を溶接する5つのメリット3.1 メリット①:簡単に接合できる3.2 メリット②:コストダウンできる3.3 メリット③:気密性・水密性を得られる3.4 メリット④:自由度が高い3.5 メリット⑤:製品重量が増えない4 鉄鋼を溶接する3つのデメリット4.1 デメリット①:寸法精度の維持が難しい4.2 デメリット②:欠陥発生のリスクがある4.3 デメリット③:解体が難しい5 まとめ
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溶接は金属同士をつなげる加工方法の一つで、さまざまな製品の制作に使用されています。
例えば、自動車や船舶、電子機器や建築資材などです。
結合する金属に加熱・加圧することによって2つの金属をつなぐのが、溶接の基本的な仕組みです。
溶接は、立体的な製品の作成には欠かせない工程と言えます。
溶接と一言で言っても、強度や外観などの特徴があります。
溶接法ごとに得意・不得意な材質があり、技術者ごとに差が出やすいため、溶接に関する理解は非常に重要です。
鉄鋼溶接には、いくつか種類があります。
溶接をするには溶接に関する理解が非常に重要なため、把握しておきましょう。
鉄鋼溶接の種類は、主に下記の3つです。
それぞれ特徴があるため、知っておきましょう。
融接は結合させる金属部分を溶かすか、すでに溶けた金属を加えた後、溶けた金属を冷やして固めることによって結合させる方法です。
制約をほとんど受けず、大型の鉄鋼にも対応できるため、溶接の中では最もメジャーな方法とされています。
融接は強度が高く工程数が少ないため、短い時間での加工が可能です。
逆に、短時間で作業するため、材質が変化・変形しやすいデメリットもあります。
融接に分類される溶接方法で代表的なのは、下記の3つです。
アーク溶接は、アーク放電(強い光と熱を発する放電現象)を使った溶接方法です。
高い強度で溶接できるメリットがありますが、光によって結合部分が見えづらくなり、金属を溶かしすぎてしまう可能性があります。
ガス溶接は、可燃性のガスと酸素が結びついて燃焼する際に発生する熱を使った溶接方法です。
温度調節がしやすいため溶接不良を起こしにくいですが、作業時間が長くなるのがデメリットでもあります。
レーザー溶接は光の照射で金属を溶かし、結合する溶接方法です。
細かい部分にも対応できるため、精密機器の溶接によく使われます。
ただ、レーザー溶接機は高価で、設備投資が必要な点はデメリットです。
圧接は「加圧溶接」とも言われ、結合部を摩擦や超音波によって圧力を加えて接合させる溶接方法です。
機会で圧力を加えるのが一般的なため、技術者の力量に左右されず、品質を一定に保てます。
数値制御ができ、大量生産に多く用いられるのも特徴です。
また、材料が傷みにくくガスも発生しないため、クリーンな環境で作業できます。
圧接で最も一般的なのは「抵抗溶接」で、金属部分を重ね合わせて加圧し、電気抵抗によって発生する熱で接合する方法です。
圧接は自動車など大量生産品には欠かせない溶接方法で、広く普及しています。
ろう接は結合させる部分の金属は溶かさず、別の金属を溶かし、結合部に流して溶接する方法です。
接合させる金属より融点が低い金属を使うのが特徴で、主に銅製品に用いられています。
ろう接は主に「ろう付け」と「はんだ付け」に分けられ、融点が450℃以上の溶加材を使うのが「ろう付け」、融点が450℃以下の溶加材を使うのが「はんだ付け」です。
乗り物の部品や電子部品に多く使われる溶接方法で、金属と非金属の接合にも使えます。
鉄鋼の溶接は、いくつかメリットがあるため行われています。鉄鋼を溶接するメリットは、下記の5つです。
メリットを知っていると、より溶接についての理解が深まります。把握しておきましょう。
溶接は比較的簡単に接合可能です。
ねじやボルトなどで接合する場合は、適切な穴が必要だったり、ねじやボルトでの接合に合った材質であったりする必要があります。
しかし、溶接はどんな形状や大きさでもほぼ対応でき、簡単に接合できます。
機械で行う方法もあり、技術力に左右されにくいのもメリットです。
溶接はコストダウンにもつながります。
通常、つなぎ目の部分にはねじやボルトなど他の製品が使われるため、コストがかかるのは避けられません。
ただ、溶接は結合部分の金属を溶かしてつなげるため余分な部品が増えず、余計なコストがかかりません。
コストダウンしたい場合には、溶接は有効な方法の一つです。
溶接は気密性・水密性に優れています。ねじやボルトで接合する場合は、すき間ができることは避けられません。
一方、溶接では金属同士を溶かして接合するため、気密性・水密性が得られます。
特に、液体を入れる器やパイプで使う場合は、水漏れや外部から液体が侵入するリスクを軽減可能です。
溶接は自由度が高いです。溶接の種類に関しては先述した3つあり、それぞれの種類の中でも細かく分かれています。
接合させる製品・材質によって結合方法を検討できるため、非常に幅広い製品の接合に対応可能です。
溶接では、製品重量を増やさずに接合可能です。
ねじやボルトで接合する場合は、接合部品分の重量が増えてしまいます。
対して、溶接では基本的に接合部分の金属を溶かして接合させるため、重量を増やさずに接合できます。
製品の軽量化が必要な場合には、溶接で接合するのがおすすめです。
鉄鋼の溶接には、いくつかデメリットも存在します。鉄鋼を溶接するデメリットは、下記の3つです。
溶接に関わる方は、デメリットも把握しておきましょう。
溶接は接合部分の金属を溶かして接合するため、溶かした部分が液体になります。
液体は流動的なため、寸法精度の維持が難しいです。
特に、細かい製品には大きく影響します。寸法精度を維持するためには、位置決めなどによる細かい管理が必要です。
溶接特有の欠陥が発生するリスクがあります。
例えば、つなぎ目の盛り上がりが過大になる「溶接ビート」や「オーバーラップ」、「スラグ巻き込み」などの現象です。
これらの欠陥が起こると、外観の違和感に加え、接合強度にも影響します。
最悪の場合、接合部分が破壊されるケースもあるため、注意が必要です。
溶接で接合した場合は、解体が難しくなります。
ねじやボルトで接合した場合は、留め具を外せば簡単に解体可能です。
しかし、溶接した場合は接合店が強くくっついており、簡単には解体できません。
接合力が強いのはメリットではありますが、異材を接合した場合はリサイクルできないなどのデメリットもあります。
用途に合わせて、接合方法を選ぶようにしましょう。
【YouTube】南条製作所の溶接加工設備全2台をご紹介
鉄鋼溶接は、主に下記の3種類に分類されます。
上記3種類の中でもさらに細かく分かれており、溶接は幅広い製品に使われています。
それぞれの特徴を理解していれば、適切な接合方法を選択可能です。
溶接にはメリット・デメリットもあるため、本記事を参考に把握しておきましょう。
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