溶接ロボットとは、自動で溶接できるロボットです。さまざまな溶接方法に対応しており、作業者の人員不足や労働環境の改善にもつながります。
しかし、ロボットのため、溶接に対応できない場所もあるといった点が課題です。
この記事では、溶接ロボットの特徴や、メリットとデメリットについて解説します。
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溶接ロボットとは、人の手を借りずに自動で溶接できる機能を持つロボットのこと。
溶接に精通している技能者の不足や高齢化による技術の継承問題が深刻となっており、ロボット導入を検討している企業は増加傾向にあります。
必要なツールの準備と作業動作を記憶させることにより、溶接ロボットがプログラム通りの動きをしてくれます。
そのため、人員不足を解消し、生産性の向上が期待できるでしょう。
溶接ロボットの構造は、大きく分けて4つに分けられます。
溶接で一般的に流通している産業ロボットは、垂直多関節型です。
垂直多関節型は人間の腕の構造に近い形状をしており、動きはスムーズ、かつ自由度が非常に高い特徴を持っています。
溶接加工用の先端器具を交換すると、幅広い溶接の種類に対応可能です。
熟練の技術を持つ作業者しかできない溶接作業を、ロボットで対応できるようになります。
溶接ロボットの導入により、生産性が約1.5倍以上向上したという企業の実績もみられました。
ほかにもロボットが本溶接できるようになるため、仮溶接にかけられる時間は1.5倍も増加し、生産性の向上が図れた結果も報告されています。
以上の報告から、溶接ロボットの導入は現場の作業効率が上がると同時に、製品の生産量と品質アップが期待されるでしょう。
引用元:経済産業省 | 平成26年ロボット導入実証事業 事例紹介ハンドブック 2016
溶接ロボットの対応範囲は機種によって異なりますが、さまざまな種類の溶接方法に対応可能です。
一例を挙げると、以下のようなものがあります。
ただし、溶接ロボットは直線に近い溶接には対応できますが、複雑な面は困難です。
また、上向きの作業姿勢といった物理的に溶接が不可能なケースには対応できません。
溶接ロボット導入におけるメリットとデメリットについて、それぞれ解説します。
溶接ロボットのメリットには、以下のものが挙げられます。
溶接は高温を浴びながら作業しなければいけないため、人だと疲労が蓄積し、ペースダウンする場合もあります。
対して、溶接ロボットは作業ペースが一定です。安定的に作業を進められるため、生産量の目安が立てやすくなります。
ほかにも、プログラム通りの動きをする溶接ロボットは、溶接忘れなどのミスが発生しません。
作業者による溶接技術のムラも解消できるため、一定の品質を保てるのがメリットです。
無理な姿勢での作業の負担を軽減できるほか、溶接ヒュームなどの粉じんによる危険から作業者を守れるため、労働環境の改善にもつながります。
※溶接ヒュームとは、溶接などにより生じた蒸気が空気中で凝固したものです。非常に細かい粒子状の物質で、人の鼻腔や口に入ると肺胞まで到達します。
溶接ロボットのデメリットには、以下のものが挙げられます。
当然ですが、溶接ロボットには目がついていません。
ワークの位置や溶接箇所がズレていたとしても、変わらず一定の場所を溶接するため、不良品を生産するリスクをともないます。
また、溶接ロボット導入には、作業動作を記憶させるティーチングと呼ばれる作業やプログラミングが必要です。
ティーチングには、専門的な知識や技術を必要とします。
自社にティーチングできる作業者がいなければ外注する必要があるため、外注費や時間を要するのがデメリットです。
ほかにも、溶接ロボットを導入すると定期的なメンテナンスにかかる費用なども考慮に入れる必要があります。
溶接ロボットを取り扱う作業者の知識不足は、誤操作の原因です。
大きな事故につながりかねないため、取り扱う作業者は、溶接ロボットについて十分な知識と技量が必要となります。
人による溶接のメリットとデメリットについて、それぞれ解説していきます。
人による溶接のメリットには、以下のものが挙げられます。
人による溶接の場合、必要な設備や機材は比較的安くそろえられるため、経費削減のメリットがあります。
また、複雑な溶接にも対応可能です。
溶接ロボットにシステムエラーが生じた場合、解決しないかぎり作業が中断してしまいます。
一方、人による溶接では緊急時でもすぐに対応できるため、作業トラブルを迅速に解決しやすい傾向があります。
人による溶接のデメリットには、以下のものが挙げられます。
人による溶接では、品質を一定に保てないデメリットが生じます。
作業員の技術によって仕上がりにバラつきが出てしまうため、製品の品質にムラが発生しやすいからです。
また、溶接金属の品質低下を抑える方法として、溶接の際シールドガスを行うのが重要とされています。
シールドガスを行うことで、溶接の際に金属から出てくるスラグと呼ばれるカスが大量に発生してしまうため、除去作業が必要です。
スラグは溶接後にしっかり除去しなければ、次の作業に影響が生じます。
除去作業により、作業時間が長引いてしまうのも人による溶接の欠点です。
さらに、人体への被害も懸念されています。
ヒュームなどの粉じんを吸い続けると、肺が固くなって呼吸が困難になる、じん肺を発症するリスクが上がるのもデメリットです。
溶接による健康被害については、今後も改善策を考えなければいけない大きな課題とされています。
※シールドガスとは、溶接中の溶融金属が劣化し溶接不良とならないよう、酸化や窒化などを防ぐため使用されるガスのことです。
引用元:厚生労働省|平成18年アーク溶接作業における粉じん対策
当社では、門型溶接ロボットを導入しています。詳しくは、設備紹介からご覧ください。
広大な敷地を活かし、切断・曲げ・溶接・組み立てまで大型の製缶加工を一貫して製作可能です。
貯水やオイルなどのタンク、ビルの歩廊といったさまざまな加工に対応できます。
大型の製缶加工による製造事例は、以下のとおりです。
大型製缶を製作する場合、複数の素材をつなぎ合わせる必要があり、溶接箇所は多くなります。
しかし、弊社は大型の機械設備を多数保有しているため、切断箇所を減らせるのが強みです。
溶接箇所を減らし、通常よりも強度に優れた製品を製造できます。
【関連記事】大型製缶加工とは?実績多数の大型製缶メーカーが加工実例とともに解説
この記事では、溶接ロボットとはどのようなものか、メリットとデメリットを踏まえて解説してきました。
溶接ロボット導入は、熟練の技術を持つ作業者しかできない溶接にも対応できるため、人員不足や高齢化による技術の継承問題を解決する一歩となります。
一定のスピードを保って作業できるため、生産管理がしやすかったり、品質向上を図れたりといった点がメリットです。
しかし、ロボットのため、作業困難な場所やティーチングが必要などのデメリットもあります。
溶接ロボットと作業者で作業工程を使い分ければ、より効率的な作業が実現できるでしょう。
溶接ロボットについて、さらに深く理解したい場合は、気軽に当社へお問い合わせください。
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