金属を加工するには、専用の機械が必要になります。柔らかい素材であれば加工も簡単で、機械もそれほど大掛かりなものを用意する必要はありませんが、金属を加工するとなると話はずいぶん変わってきます。
金属を加工する機械として、最近ではビームワーカーが脚光を浴びています。
いったん導入してしまえば、それほど手間をかけずにスピーディーな作業が可能になることから、さらなる生産性の向上が期待されています。
この記事では、ビームワーカーの詳細をざっくりまとめて解説するとともに、そのメリットやデメリット、いわゆるアイアンワーカーとの違いなどについても触れていきます。
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ビームワーカーとは、パンチやシャーによって穴あけや切断をおこなう、条鋼材マルチ加工機のことです。
完全にプロ仕様の工業用機械であり、一般人のあいだで流通しているケースはほとんどありません。
工場の中で使われるため無骨なデザインのものが多く、しっかりとした知識にもとづいて取り扱う必要があります。
金属を加工することを生業とする鉄骨業界などでは、近年になって加工部品の大型化や要求される精度の向上、さらには短い納期にも対応しなければならないなど、総合的な生産性の向上が急務となっています。
そういったニーズに応えられる機械として注目を集めているのがビームワーカーです。
素早く大量の作業をおこなうことに向いており、またさまざまな加工方法に対応している点でも、オールマイティな活躍を見せてくれます。
同じ金属を加工する機械として、レーザー加工機もあります。レーザー加工機については別の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
【関連記事】レーザー加工機でできることを8つ紹介!メリットや不適切な材料も
ビームワーカーとよく似た役割を果たす機械として、アイアンワーカーと呼ばれるものがあります。
ビームワーカーとアイアンワーカーの違いはどのようなところにあるのでしょうか。
アイアンワーカーは鉄骨加工機の一種で、アングル材などに穴をあけたり切断したりするときに使われるものです。
さまざまな加工に対応している点や、完全にプロ仕様のものがほとんどである点などは、ビームワーカーとほぼ同じです。
アイアンワーカーがビームワーカーと違うのは、コーナーノッチやアングルカットといったものを「少しずつ」加工したい場合に向いているということです。
ビームワーカーと比べて取り回しが効くので、小ロットであればアイアンワーカーのほうが便利に使える場合もあります。
工場の仕事のすべてが、大量の発注を大量にさばく類のものではありません。
中小規模の工場では100とか200といった小ロットの発注を受けることも多々あり、そのような場合には大掛かりなビームワーカーを動かすより、アイアンワーカーで素早く済ませてしまうほうがよい場合もあります。
弊社でも、ビームワーカーを使用しております。
設備紹介でご覧ください。
ビームワーカーでできる加工として代表的なものは、以下の2つとなります。
このようにまとめてしまうとシンプルですが、ビームワーカーでおこなえる切断も穴あけも多種多様であり、さまざまなニーズに迅速に答えてくれる点が魅力となっています。
以下で1つ1つ解説します。
金属のような硬いものを切断するには、それなりに大掛かりな機械が必要になります。
そのような目的を持った機械にはさまざまな種類がありますが、ビームワーカーはとくに切断をスムーズに、そしてスピーディーにおこなえることを大きな特徴としています。
金属を切断すると一口にいっても、作り出したい部品によって切断の仕方はさまざまです。
アングルやフラットバー、不等辺アングル、溝形鋼、リップ溝形鋼など、金属を切断する機械はいろいろなものを生産できる手段を備えていなければいけません。
ビームワーカーであれば、これらのものを設定1つでスピーディーに大量生産することが可能です。
金属に穴を開けることも、ビームワーカーが得意としている作業です。
チャンネルやアングルといった条鋼材にパンチで穴を開けていくのですが、ビームワーカーの処理速度はその他の機械と比べて非常に優れており、大量の発注を受けた場合に短い納期のなかで確実に作業を完遂させる役に立ちます。
きちんと設定を済ませれば、あとのことはほとんど自動的にやってくれるのも大きな強みです。
人間が勘に頼って作業する必要は一切ありません。
ここまでビームワーカーの特徴について解説する過程で、ある程度そのメリットについても言及してきましたが、ここで改めてまとめます。
ビームワーカーの優れた点としては、主に以下の3つが挙げられます。
高速化とはその言葉通り、より短い時間でたくさんの製品を生産できるようになるということです。
従来の機械と比べて、ビームワーカーは非常に高速に作業を反復することを得意としており、ロット数の多い部品を生産する場合などにとても頼りになります。
近年では金属業界に対する発注も多様化しており、極めて短い納期で大量の部品を生産してほしいというニーズも少なくありません。
ビームワーカーを所持していれば、そういった場合にも仕事を引き受けることができ、業績アップへと繋げられます。
そして洗練されたメカニズムになっていることから、省力化を実現しているのもビームワーカーの優れた点です。
従来の機械と比べてコンパクトな設計になっているだけでなく、必要となるエネルギーも比較的抑えることが可能なので、トータルでランニングコストを考えたときにとてもよい選択肢となりえます。
さらに自動化が徹底されていることも、ビームワーカーの大きな武器の1つでしょう。
作業前に簡単な設定をしてスタートさせるだけで、あとはビームワーカーが自動的に必要な作業のすべてをおこなってくれます。
作業が自動化できるということは、スタッフの1人1人にかかる負担が減るということですので、より安全性が高まることが期待できます。
さらには人員を削減できることにもつながっていくので、長期的な視野で考えたときのコストカットも実現できることでしょう。
これらの点から、ビームワーカーは近年になって注目を集めています。
前項で解説したとおり、ビームワーカーには大きなメリットがいくつもあるのですが、他の物事がそうであるのと同じように、完全なシステムというわけではありません。
ビームワーカーにもビームはかなりのデメリットが存在します。
代表的なところとしては、導入コストが高いことが挙げられます。
もちろんいったん導入すれば、長期的には会社に利益をもたらす可能性が高いのですが、そのために初期費用を支払えるかどうかは別問題です。
既にほかの機械が揃っているなか、長期的な利益のために新たに高額な機械を導入できるかどうかは、現在の会社の経営状態次第となるでしょう。
また、ビームワーカーがいかに多種多様な加工に対応しているといっても、なかには対応しきれないものも存在します。
そのような事態が発生した場合に、ビームワーカーに頼りきった生産をおこなっている工場だと、代替策を素早く実行することが難しい可能性もないとはいえません。
ビームワーカーは便利な機械ですが、思ったように活躍できない場合のことも想定しておくことが大切です。
ビームワーカーのおおまかな機能と役割、そしてメリットとデメリットについて解説しました。
優れた機械を導入することは、工場などにとっては長期的に見て非常に有益なことです。
ビームワーカーは金属加工において非常に高いパフォーマンスを発揮するものであり、規模にかかわらず多くの工場にメリットをもたらすことでしょう。
この記事を参考にして、ぜひビームワーカーの導入を検討してみてください。
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