再生可能エネルギーとして注目が集まっている風力発電。
風力発電機はいくつかの部品が集まって製造されており、ナセルが風の動きを電気に変える役割を担っています。
ただ、ナセルと聞いても具体的にどんな仕組みで設計されているのか、どんなパーツを搭載しているかを知らない方は多いでしょう。
この記事では、
を解説します。
目次:タップで該当箇所へジャンプ1 風力発電のナセルとは1.1 風力発電の仕組み1.2 ナセルの仕組み2 風力発電におけるナセルの構造とは2.1 増速機2.2 発電機2.3 ブレーキ装置3 風力発電におけるナセル以外の設備3.1 塔体3.2 ブレード3.3 トランス3.4 動力伝達軸4 風力発電のナセル構造を製造する際の注意点4.1 専用の機械が必要4.2 高度な技術・知識が必須5 まとめ
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風力発電のナセルとは、発電機や増速機で構成された部分を指します。
風力発電設備のクルクルと回転する羽のようなパーツを「ブレード」と呼びます。
また、ブレードの中心部にあたるパーツを「ローター」、地面から垂直に立つ細長いパーツを「タワー」と呼びます。同様に、ローターとタワーの中間部を「ナセル」と呼びます。
風力発電設備の構造は複雑なため、部品を細かく分類分けすることはできますが、大きく分ける場合は、「ブレード」、「ローター」、「ナセル」、「タワー」の4つに分けるのが一般的です。
風力発電におけるナセルの理解を深めるために、風力発電の仕組みを理解してからナセルの仕組みを理解しましょう。
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風力発電の仕組みは風の流れを利用して発電することです。
発電の流れのはじまりは、上空に流れる風によりブレードが回転することです。
ブレードが回転すると、動きに合わせて中心部のローターも回転します。
ローターの回転はナセルに伝わり、内部で回転が電気に変換されます。
ナセル内で変換された電気はタワー内部の電力ケーブルを伝って送られていきます。
風力発電におけるナセルの仕組みを解説します。ナセルの内部構造は、主に下記の部品で構成されています。
まず、ローターで発生したエネルギーが動力伝達軸を伝っていきます。
増速機はブレードの回転速度を高める役割を担う部品です。
ナセル内には発電機があるため、ブレードからローターへと伝わったエネルギーは電気に変換されます。
また、ナセル内にはブレーキ装置があります。
ブレーキ装置はブレードに危険な動きが見られる際に、回転にブレーキを加える装置です。
台風など風が非常に強い際などにブレーキ装置が機能します。
風力発電におけるナセルの構造をパーツごとに解説します。
増速機はローターと発電機をつなぐ部品です。
風力発電機によっては、増速機を搭載していないケースもあります。
増速機の内部にはギアがあり、風が弱い際にブレードの回転数を発電に至るまでに増加させる役割を担います。
通常は上空を流れる風力のみでブレードが回転しますが、増速機を用いることで発電効率の向上を図れます。
発電機の仕組みはシンプルです。
風の力を受けたブレードによりローターが回転し、その力が発電機に加わることで電気を発生させます。
他の発電方法でも、何らかの力により発電機が回ることで発電が行われます。
ただ、他の発電機では燃料を燃やしたり、核分裂を起こしたりする必要があるため、環境破壊に加担したり危険を伴ったりしますが、風力発電ならば自然の力のみで発電が完結します。
風力発電機に用いられる発電機の出力はさまざまですが、大型の風力発電機なら数百から数千キロワットの出力の発電機が搭載されています。
ブレーキ装置は、ローターの動きを止める役割を担います。
台風時など風が強すぎる際に、危険を回避するために機能します。
また、台風時以外でも点検時など、一時的に発電を止める際にブレーキ装置が作動します。
風力発電におけるナセル以外の設備について解説します。
塔体とはブレードやローターを高い位置に設置するために地面から垂直に立つ部品です。
「塔体=タワー」と考える場合もあります。
塔体は風力発電機と発電所をつなぐ部品でもあります。
そのため、塔体の下部には重圧器であるトランスが搭載されています。
トランスは電圧の上げ下げを行うため、送電の効率を高められます。
トランスで電圧を変化させた電気は送電線や配電線を通って発電所へと送られます。
ブレードは風の流れをローターに伝える役割を担います。
ブレードの回転のしやすさは発電効率に直結するため、回転しやすい構造で設計されています。
また、ブレードの枚数も風力発電機によってさまざまです。
最もメジャーな風力発電機はブレードを3つ使うプロペラ型風車です。
ブレードはわずかな風の流れでも回転するよう、材質に繊維強化プラスチックを用いることが多く、効率的な発電を可能にしています。
また、繊維強化プラスチックは軽いのにもかかわらず、耐久性にも優れています。
そのため、台風時などの強風でもブレードは壊れることなく機能します。
ブレードの角度にも工夫が凝らされており、風力発電機によってはナセル内にブレードの角度を変える装置が搭載されています。
トランスは電気の電圧を自由に変えられる装置です。電気の電圧を高めると、電力消費を抑えて送電できます。
また、一般的な発電所では変電所を経由してから電気を必要とする家庭や施設に送られています。
動力伝達軸は、ローターとナセルをつなぐ部品です。ブレードから伝わった回転をナセル内の発電機にまで伝達させる役割を担います。
風力発電のナセル構造を製造する際の注意点を2つご紹介します。
風力発電のナセル構造を製造する際の注意点の1つ目は、専用の機械が必要なことです。
周知のように、風力発電機は巨大で複雑な構造をしています。
サイズはさまざまですが、地上の風力発電機の高さは100メートルを超えるケースもめずらしくありません。
ナセルの位置も高さ70メートルを超える規模です。
また、洋上風力発電機なら高さが180メートルを超えることもあります。
これは高い位置で流れる風ほど強く吹いているため、発電の効率が高まるからです。
ここまで解説してきたとおり、ナセルは増速機や発電機など、複雑な部品を搭載しています。
巨大かつ複雑な構造で設計された風力発電機を製造するためには、専用の機械が必要です。
風力発電のナセル構造を製造する際の注意点の2つ目は、高度な技術・知識が必須なことです。
ナセルを含め風力発電機を製造するためには高度な技術と専門的な知識が欠かせません。
また、風力発電機の安全性を保ちつつ、効率的に発電しつづけるためには定期的な点検も必要です。
製造するにしても、点検するにしても、専門的な技術と知識は必須です。
今回はナセルの構造を中心に風力発電機について解説しました。
海外では風力発電が占める年間発電電力量の割合は高まりつつありますが、日本ではまだ1%にも満たないとされています。
ただ、日本でも風力発電は再生可能エネルギーとして注目が高まりつつあります。
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